クラフトジンとは?

「クラフトジン」という言葉を聞いて、「普通のジンと何が違うの?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

最近では、スーパーやデパートでクラフトジンを見かけたり、テレビでも各地のつくり手に焦点を当てた番組が放映されるなど、目にすることが増えて気になっている方も多いでしょう。

2010年頃に海外から火が点いたジンブームは世界中に広がっていき、その後日本にも飛び火。2020年前後から日本産のジンが一挙に増えました。

かつてのジンのイメージと言えば、落ち着いた雰囲気のバーでカクテルを楽しんだり、「居酒屋のメニューの隅の方にジントニックってあるよね」というくらい一般的にはイメージが湧きにくいお酒でしたが、ジンブーム以降、クラフトジンはぐっと私たちの身近な存在になってきています。

では、そんな身近になってきたけど何となく意味が掴みづらいクラフトジンという言葉、「クラフト」の定義、「ジン」の定義をわかりやすく説明していきます。

「クラフトジン」の定義とは

クラフト(craft)とは工芸品や技術等の意味合いがあり、ジンにおけるクラフトもまた職人の技術やその土地や地域の伝統が込められているという意味を含みます。

クラフトジンの定義とは

結論から言うとクラフトジンを指す明確な定義はありません

つまりそのジンをクラフトジンと呼ぶかどうかはつくり手の意思に委ねられます。

まとめると、クラフトジンとは「職人の技術や想い、地域や土地の伝統が込められたジン」ということになります。定義が明確に決まっていないからこそ、作り手の表現したい味わいを自由に形にできるのがクラフトジンの魅力の一つとも言えます。

世界はもちろん、日本でもジャパニーズクラフトジンと言って日本ならではの素材を使った特徴的なジンが近年続々と生まれています。

そもそもジンとは

「ジン」とは蒸留酒の一種で、ベースとなる「スピリッツ=蒸留酒」に、ジンに必須の素材である「ジュニパーベリー」や他の「ボタニカル(スパイス、ハーブ、フルーツなど)」を加えて風味付けしたお酒を指します。

そもそもジンとは?

ベーススピリッツは穀物やフルーツなどの農作物由来のものを素材としており、使用されるボタニカルにも特に制限はありません。唯一「ジュニパーベリーが風味付けに使われている蒸留酒でなければならない」という極めて自由度の高いお酒です。

ちなみに、ジンの主要な生産地域であるヨーロッパでは、EU法で定められる所により、アルコール度数が37.5%でなければいけないという規定がありますが、他の地域においてはその限りではありません。

「普通のジン」と「クラフトジン」の違い

2つに明確な違いの定義は存在しませんが、あえて言うとすれば、下記の3点の違いが見えてくるでしょう。

小規模の蒸留所や洋酒メーカーではない企業がつくる

かつてのジンは、大手の洋酒メーカーが大規模な蒸留所において大量生産するものがほとんどでした。

しかし近年、小型の蒸留器を使用する小規模蒸留所が爆発的に増加して、一回の製造工程で少量のジンをつくる「スモールバッチ」のジンも世界各地から産まれています。

つくり手の形態もさまざま。日本では焼酎や日本酒、ビールメーカーなどの別業態のお酒メーカーから始まり、食品メーカーも自分たちの素材を活かしてジンをつくったりしています。

お酒とは関係のない業種の人でもジンの蒸留所を設立したり、OEM(委託製造)を請け負う蒸留所に製造を依頼して、自分のブランドのジンをつくる企業やバーなども増えてきました。

それらのジンは根強いファンに支えられながら、ECサイトの発達によって流通の自由度が上がったことも追い風となり、少量でも独自の販売路線で売れるようになったということが大きいでしょう。

作り手の技術や想いがこもっている

「クラフト」の名が付くことから分かるように、ジンのつくり手も誇りをもって製造しています。

試行錯誤をして様々な製造方法を試してみたり、ベーススピリッツの素材やボタニカル選びのこだわり、ボトルデザインに至るまで、つくり手の想いが反映されています

先にお話したメーカーの規模にもよりますが、小さいメーカーであれば一人でジンをつくってるという所も少なからず存在します。

その様な蒸留所でつくられるジンには生産者1人のジンに込める想いが全体に宿っていますので、そんな想いを感じながらジンを楽しむことができますね!

地域や土地の素材を使ったボタニカル

かつてはキリッとした風味を持つ「ドライジン」が主流であり、ボタニカルもある程度主要なものが使用されていました。

その反対にクラフトジンにおいては、その地域ごとに名産品や、土地の特性や気候を活かしたボタニカルが素材として使われており、ドライなものだけではなく甘いフレーバー、フローラルやハーバルと、個性的なジンがめじろ押しです。

ハーブやフルーツなどの素材がつくられた地域に根ざし、生産者の想いが反映され、ローカルなコミュニティの活性化にも一役買っています。

「クラフトジン」のブームと魅力

ジンの本場・イギリスから始まった「クラフトジン」ブーム

ジン発祥の地である本場イギリスにおいても、ジンはかつて「オールド・ドリンク(時代遅れのお酒)」と言われることもあった程、他のお酒に押されて影の存在になっていました。

そんなジンのイメージを変えたのが、1987年に発売された「ボンベイ・サファイア」ではないでしょうか。その青く美しいボトルがジンに洗練されたイメージを与え、イギリスでもカクテルのベースのお酒としてジンに脚光が浴びるようになりました。

ボンベイ・サファイア

それ以降も、数少ないジン製造をする大規模蒸留所でジンがつくられていましたが、2008年のロンドンにおける歴史的な転換点により、ジンを取り巻く環境は劇的に変わったのです。

イギリスでは200年もの間、ジンの製造免許の取得に厳しい条件が課せられていて、1800リッター以上のジンを一度につくられる大規模な蒸留器でなければジンをつくることは出来ませんでした。

そこで登場したのが、情熱を持った若者たちによって作られた小規模の「シップスミス蒸留所」。彼らは、数年にも渡りイギリス政府に訴え続け、2008年、遂に小規模な蒸留所でもジン製造免許が取得できるように法律をも変えてしまいました。

それ以降はイギリスで無数の小規模蒸留所が生まれジンブームが燃焼。ヨーロッパ、アメリカなどでもブームは燃え上がり、世界中から小規模生産のジンが産まれて来るようになりました。

現在では、かつてはジンを作っていなかった様な地域(アジア、アフリカ、中南米など)までもが、ジンをつくるようになってきています。

日本のクラフトジンブームの火点け役は?

日本も例外ではなく、近年ではジン周辺が活気付いてます。

かつてはジンは広く流通をしていたもののほぼ決まった銘柄が酒屋の棚に並んでいて、実際に自宅でジンを飲んでいるという人は少なかったのではないでしょうか。

節目が変わったのは、2016年の日本初のクラフトジンが発売された年。諸説ありますが、焼酎やウイスキーを造る鹿児島県の酒蔵・本坊酒造がつくった「光遠(こうおん)」が日本のクラフトジンの第一号と言われています。

光遠IP-01

その数ヶ月後、国内初のクラフトジン蒸留所である「京都蒸溜所」がリリースした「季の美(きのび)京都ドライジン」が話題となり、日本のクラフトジンカルチャーが一気に花咲いていきました。

季の美

このジンは、お米由来のベーススピリッツを元として、柚子、檜、煎茶など、日本ならではの素材を使った画期的なジンということで、ジャパニーズクラフトジンの金字塔として現在でもなお人気のある1本です。

それ以降はジンをつくる蒸留所が爆発的に増加。現在では全国に100箇所以上あると言われています。日本各地で毎月数本〜数十本の新製品がリリースされるほどジンづくりが盛んになっていて、もはやプロのバーテンダーでもその全てを把握しきれている人はほとんどいないと言われています。

それに伴い、ECサイトや街の酒屋さんなどでクラフトジンは入手しやすくなったということ。ドリンクとして提供するレストランやバーも増えたということもあり、ジンの飲み手も年々右肩上がりに増え続けています。

「ジャパニーズ・クラフトジン」の魅力

日本で作られるクラフトジンは「ジャパニーズ・クラフトジン」と呼ばれ、日本国内ではもちろん、近年では海外でも注目を浴びるようになってきました。

ジャパニーズクラフトジン一覧

その主な特徴としては、ベーススピリッツやボタニカルが日本の素材であること。

海外のジン製造の現場においては、ベーススピリッツは自社でつくらずにベーススピリッツ専門の業者から仕入れることが一般的ですが、日本では、焼酎や日本酒、ビールメーカーなどがジンを作ることも多く、自社のお酒を利用して個性的なベーススピリッツの風味をジンの個性としている銘柄も多く存在します。

ボタニカルに関しても、柚子や煎茶、桜、檜など、日本の風土から生まれた植物が多く使われています。

また、日本の気候・風土にあったジンづくりをしていること。その地域ごとのボタニカルの生産者とメーカーのコミュニティー的な近さなどが挙げられます。

ジンの選び方

ではジンに興味を持った際に、最初に購入する一本はどのように選んだら良いかということを提案させてください。

1)生産地で選ぶ

もし初めてのジンを買おうと思い立った場合、「生産されている地域」で選ぶのは十分アリです。

ジンは他のお酒に比べて製法や素材の自由度が高いお酒です。例えばお酒の生産地について「ブドウが育ちやすい地域でワインが有名」「米どころなので日本酒が盛ん」など聞くことが多いと思いますが、ジンは設備さえあればどこでもつくることができるお酒です。

日本国内に関しては、ジンの製造所がない都道府県は片手で数えられるくらい、全国各地でジンが製造されています。

例えば「自分の故郷」「赴任していて思い入れが強かった県」など、思い入れのある土地の商品を購入してみるのはいかがでしょうか。ふるさと納税でクラフトジンを出品している都道府県もかなり多くなってきたので、自分の故郷に恩返しという形で返礼品を頂く形でも良いでしょう。

海外のジンが気になるというのであれば、自分の行きたい国、行って感動した国など、その情景に思いを馳せながら美味しいお酒に浸ることもできます。

2)ボタニカル / フレーバーで選ぶ

ジンは使用されているボタニカルによって味の印象が全く変わってきます。かつてのドライジンが主流だった時代とはうって変わって、「え、これもジンなの!」という個性的な一本に出会えることも相当多いです。

下記に使われているボタニカルと、トータルで見たフレーバーの方向性をご紹介します。ボタニカルは無限に存在するので、もちろんまとめきれるものではないのですが、ご参考にしてみてください。

ドライジンカルダモン、シナモン、レモンピール、オレンジピール、アンジェリカ、オリス、リコリスなど・ジュニパーベリーの風味を前面に押し出しながらも、柑橘とハーブ、スパイシーさがバランスを取りながら、キリッとした味わいに仕上げられています。
フルーティーブドウ、リンゴ、苺、梨など・フルーツが素材に使われていることによって、ジンの風味に甘さと軽やかさが加えられます。
シトラスレモン、オレンジ、柚子、みかん、グレープフルーツなど
・柑橘系の皮や、時には実が使われます。フレッシュさが特徴的。
ベリーラズベリー、クランベリー、ブルーベリー、苺など・甘酸っぱさが魅力的。
スパイシーペッパー、コリアンダー、カルダモン、シナモン、山椒など・ピリっとした風味が刺激的。
アーシークローブ、クミン、カシア、ナツメグなど・土っぽい温かみがジンに与えられる。
ウッディー(木)杉、ヒノキ、クロモジ、サンダルウッドなど・口の中で森林浴を感じられる。
フローラルラベンダー、ジャスミン、カモミール、エルダーフラワーなど・花びら由来の、ブーケのようなスイートさを感じることができる。
パフューミーハイビスカス、ローズヒップ、バイオレット、ローズなど
・フローラルよりもより強く、香水の様な芳香性を味わえる。
ハーバルアニス、フェンネル、ミント、タイム、ローズマリーなどグリーンなフレッシュさを楽しめる。

3)ボトルデザインで選ぶ

ジンの最大の魅力の一つ、それが「ボトルデザイン」です。他の種類のお酒であれば、何となく一般的なボトルイメージというのは皆さんあると思いますが、ジンは良い意味でなんでもありのお酒ですのでボトルのデザインも多種多様です。

形も縦長のものから四角いものまで、ラベルもアーティストとコラボしてデザインされたものもありますので、お酒のボトルということを感じさせないようなスタイリッシュなデザインも数多くあります。

ぱっと見て「あ、ボトルが綺麗」と思ったジンを手に取ってみて直感にまかせて購入するのも良いでしょう。インテリアとしても映えますので、部屋に一本置いているだけでもオシャレさを演出できます。

いわゆる「ジャケ買い」が楽しめるのもジンの魅力の一つです!

4)価格で選ぶ

ジンの価格帯は様々。700mlのボトルが一般的ですが、安いもので1000円以下~プレミアムなもので10,000円位までするものまで価格レンジは様々です。現在CMでもお馴染みの『翆ジン』などは、1,500円近辺で購入できます。プレミアムクラフトジンであれば、4,000~5,000円台くらいが一般的でしょうか。

実はジンはスピリッツの中でも非常にお求めやすい価格で、プレミアムジンを買ってシンプルに炭酸水で割るソーダ割りを飲むとしても、一杯200-300円で美味しいジンソーダが出来上がってしまいます。

最初から高いボトルに手を出すのは不安という方は、まずは1,000円台のお手軽価格のジンを普段飲み用に購入して、気に入ったら、徐々に高いものを購入して自分へのご褒美にするのも良いでしょう。

家飲みでプレミアムな気分を味わうにはジンはうってつけなんです!

5)お店や試飲会で飲んでから決める

今まで色々な視点から買うジンを決める際の方法をオススメしてきましたが、とは言え、やはり最初からボトルを購入するのは勇気が要りますよね。

そこでオススメするのが、まずは飲んでみるということです。最近ではクラフトジンを扱うレストランやバーもとても多くなってきました。ちょっとした個人店のレストランなどに行くと、様々なお酒に混じってジンのボトルが並べられている、なんていうことも良くあります。

そして各地のジンのつくり手自身が、デパートや地域物産展などの催事場で試飲イベントに参加してジンを振舞っていることも多々あり、偶然にジンに出会う機会も増えてきています。そのようなジンを飲める機会がある場所に行って、一度試してから自宅用に一本購入するのがベストですね!

ジンが飲めるお店は「GIN MAP」でチェックしてくださいね。

はじめての方にオススメ クラフトジン5選

最後に「結局、何を最初に飲んだら良いの?」という方の為に、とても有名なクラフトジンを5ブランドご紹介します。

これからご紹介するジンは、「クラフトジン」的な個性のある銘柄を選びましたが、現在ではあまりにも有名な銘柄に育ち、メーカーが大量生産しているブランドにまで成長しているものばかりです。

「大手メーカーがつくっているのでクラフトジンではないでしょ!」と声を上げる方もいるかもしれませんが、入門編ということで温かい目で眺めてもらえればと思います。

日本のジンブームにおいても根強いファンが多く、長きにわたり愛されてきたジンたち。ぜひ一度試してみてください!

JAPANESE DRY GIN SAKURAO : 桜尾ジン

桜尾ジン

原産地:日本、広島県

2016年の京都蒸溜所の設立以降、各地の焼酎や日本酒の酒蔵が徐々にジン製造を始めるようになりましたが、その中でも、この2018年に発売された『桜尾ジン』はもっとも有名なジャパニーズジンのブランドの1つです。

広島県の老舗の清酒・焼酎メーカーの中国醸造がつくったこのジャパニーズジンは、後の日本のジンづくりに大きなインパクトを与えた存在と言えるでしょう。

生産量全国1位の広島県産レモンを筆頭に、ほぼ広島県産の名産品で構成されたボタニカル。地域と密接に関わり合い、ローカルでありながら世界でも愛されているお酒としてお手本の様な存在ですね。価格も2000円前後というお求めやすい価格で、入門編として最適でしょう。

現在では、社名を「サクラオブルワリーアンドディスティルリー(サクラオB&D)」に変更して、ウイスキーもリリースしつつ成長を続けています。

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Hendrick’s Gin:ヘンドリックス・ジン

ヘンドリクスジン

原産地:イギリス、スコットランド、ガーヴァン

スコッチウイスキーの銘柄『グレンフィディック』や『グランツ』で有名なウイリアム・グラント&サンズが製造するジン。1999年のリリース当時のインパクトは多大なもので、現在でも世界中で人気を集めています。

女性の蒸留責任者、レズリー・グレイシー氏によってつくられるジンはどこかミステリアスで神秘的な魅力を持ち、年齢・性別を問わず熱狂的なファンも世界中にいます。

世界に数台しかないと言われる性質の違う2台の蒸留器を駆使してボタニカルからエキスを抽出。最後にレズリーさんによってブレンドされるという、彼女にしかできない職人的な製法が特徴的です。

ボタニカルにも個性があり、きゅうりとバラというかつてのジンには使われていなかったような素材が使われています。その華やかでフローラルな風味が特徴のある、個性的でありながらしっかりとジンの美味しさを味わえる一本に仕上がっています。

Silent Pool Gin(サイレント・プール・ジン)

サイレントプールジン

原産地:イギリス、イングランド、サリー

ボトルが非常に美しいジンで、その美しさに惹かれてボトルを購入した人も相当いるのではないでしょうか。

イングランド・サリー地方のサイレント・プール湖は、石灰層でろ過されたその青く澄んだ水の色が特徴的で、その湖のほとりでつくられているサイレント・プール・ジンにもその美しさが反映されています。

ボトルには、ボタニカルのデザインと共に地方に伝承として残っている悲劇的な話が描かれています。若く美しい木こりの娘がサイレント・プール湖で水浴びをしていた時に、それを覗き見たジョン王子が娘に目を奪われ彼女に迫ろうとした。彼女は必死で逃げようとしましたが、逃げ切れず溺れ死んでしまったという伝承が残っています。

もちろんジンの味も素晴らしく、24種類ものボタニカルが使用されており、ラベンダーやカモミール由来の芳香性が香る、ドライながらも華やかな味わいを感じさせるプレミアムジンに仕上がってます。

ぜひそのボトルを手に取ってみて、ボトルの美しさを眺めながら、繊細な風味のジンを楽しんでみてください。

g’VINE Floraison (ジーヴァイン・フロレゾン)

ジーヴァインフロレゾン

原産地:フランス、コニャック地方

フランスのコニャック地方、ファミリービジネスの会社として長年現地のお酒造りに関わってきたメゾン・ヴィユベール。

2000年代に蒸留所を設立してからは、ブドウをベースとした蒸留酒を数多くリリースして、世界的にも有名なスピリッツメーカーとして世に知られるようになりました。

コニャック製造用のブドウの一種「ユニ・ブラン種」をベースのスピリッツとして、さらに、ブドウの花がボタニカルとして使用されています。

そのブドウの花は夏の前の短い数週間にしか咲かないもので、ブドウが実を付ける前に花を摘んでしまうという、非常に贅沢な香り高いボタニカルです。

コニャックのブドウの華やかさをそのまま閉じ込めたような、フルーティーで柔らかい印象を持つジン。夏の暑い日にジントニックにして飲むと最高です!

Monkey 47(モンキー47)

モンキー47

原産地:ドイツ、シュバルツバルト

このジンを飲んであまりの美味しさに驚いて、ジンの世界に入った人も世界中で数知れず。ジンの歴史をぬりかえたといっても過言ではありません。

このジンが出来上がるまでのストーリーも非常に魅力的なので、ご紹介させてください。

元英国空軍の中佐・モンゴメリー・コリンズ氏が、第二次世界大戦終戦後に退役。ドイツの復興支援のために、ドイツ南部のブラックフォレストに移り住みます。

そこは、綺麗な湧き水と野生のハーブが豊かな土地で、彼の中でジン製造の熱意が燃え上がり、独自のレシピを発見しました。

時が降って2008年。NOKIAの元マネージャーであるアレクサンダー・シュタインが故郷のブラックフォレストに帰郷した時に、コリンズ氏のジンのレシピに出会いました。その後、彼はそのレシピでつくられたジンを現代に蘇らせる決心をして、遂に蒸留所を設立しました。

47種類のボタニカルが使用されているということ。また、コリンズ氏が行ったドイツの復興支援の一環としてベルリン動物園を再建した際に、「マックス」と名付けられた東インドアカゲザルのスポンサーになっていたことにちなんで『モンキー47』と名付けられました。

その複雑に絡みあったボタニカルから、まるで緻密に調合された香水の様に例えられ、何回飲んでも常に新たな発見があるような奥深い味に仕上げられています。

モンスターのようなプレミアムジンですので、ぜひ一度飲んでみてください!

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最後に

なかなか定義しづらい「クラフトジン」という言葉。人によってはその言葉を使おうとしない人もいれば、「クラフトジン 〜」と言うふうに、商品名に入れるメーカーもあります。

ジンはボタニカルの組み合わせによって無限の個性が与えられる「香りのお酒」。人の嗅覚は個人差があるので、人によっては「このジンは好き」「この香りは苦手」など、自分なりの好みを育てていけるお酒です。

クラフトジンに興味を持ってもらって今回の記事を読んでくださった方には、ぜひ色々なジンを飲んでみてもらって、自分の好みの一本を見つけて欲しいです!