ボタニカルの「浸漬(スティーピング)」について

別記事の『コンパウンド・ジン』の頁でご説明しましたが、ジンを製造する際に広く採用されている手法が「ボタニカルを漬け込む = 浸漬」という工程です。

今回の記事ではそんな「浸漬」に焦点を当てて説明していきます。

奥深い「浸漬=スティーピング」の世界 

「ボタニカル」はスパイスやハーブ、フルーツの果皮など、ジンに風味付けをする素材ですが、アルコールに浸すだけでその香味成分を抽出することができます。この漬け込みの工程が「スティーピング=浸漬」と呼ばれるものです。

ベーススピリッツとボタニカルを再蒸留する「蒸留ジン」において、再蒸留前の浸漬は一般的に行われている工程で、この方式は「スティーピング方式(浸漬方)」と呼ばれます。スティーピングという言葉は浸漬するという意味ですが、スティーピング方式という場合は、一般的に、ボタニカルをベーススピリッツに漬け込んでその後にスピリッツを再蒸留することまで含めた工程とされています。

香味成分の抽出時間はボタニカルにより違いがあるので、それぞれのボタニカルの特性を考慮した作り手のレシピによって変わってきます。例えばビーフィータージンは24時間の浸漬時間を設けているとされていますが、1時間だけ浸漬をするという作り手もいれば、36時間という長い時間をかけたりと、その作り手によって変化してきます。また、このボタニカルは~何時間、別のボタニカルは~時間など、ボタニカルによって浸漬の時間を変えている作り手も存在します。

漬け込むスピリッツの温度によって抽出度合が変化もしますので、常温で浸漬したり、30-40度までスピリッツの温度を上げて浸漬する場合もあります。

浸漬した後にベーススピリッツを沸かして再蒸留するわけですが、熱を加えるとより香味成分はより引き立つので、浸漬と高温での再蒸留を両方行うことによってジンにより豊かな風味を与えることができるとされています。

それとは対照的に、スティーピング方式を採らずにベーススピリッツにボタニカルを投入してすぐに蒸留を始めるという作り手も数多くいます。どちらが良い悪いという基準はなく、あくまでそれぞれのジンの作り手が狙った風味の抽出方法によりますね。

蒸留 ”前” だけではない 蒸留 ”後の” 浸漬について

スティーピング方式が再蒸留前に浸漬を行う工程であることに対して、再蒸留後の出来上がったジンにボタニカルを浸漬して、風味を抽出する方法を採用しているジンも数多くあります。再蒸留で一度蒸気になる過程を経たボタニカルの風味はクリアになりますので、特定のボタニカルのよりダイレクトな風味を強調したいという狙いがある場合に用いられています。

一般的に再蒸留後のジンは、よっぽど色素が強いボタニカルを大量に蒸留する場合以外は無色透明になりますが、この蒸留後の浸漬をした場合、そのボタニカルの色素(例えば、レモンやオレンジなど)もそのまま残り、色付いたジンが出来上がります。

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スティーピング以外にもある 浸漬の呼び方

このようなボタニカルを漬け込む 「浸漬」という作業には複数の呼び方があり、違いがあるの?と思われる方も多いと思います。では、その他の呼び方もご紹介します。

インフュージョン

「自家製インフュージョン~」といった言葉をバーで聞いたことがあるという方もいますよね。

既製品のジンやリキュールにスパイスやフルーツなどを漬け込んだ、その店オリジナルのインフュージョンのお酒を提供するお店も最近は増えてきました。

ジン製造の工程としてはあまりこの言葉は使われず、家庭やバーなどで、既に完成品として販売されているお酒にボタニカルを漬け込む場合に使われることが多いようです。

マセレーション

Cellar With Wine Bottles

特に海外において浸漬という意味で使われる「マセレーション」もありますね。蒸留前にボタニカルを漬け込む工程にも、再蒸留後の浸漬にも使われる言葉です。

海外の文献を見るに、「スティーピング」よりも「マセレーション」の方が頻出している様に感じますので、この単語を見つけた時は「あ、浸漬なんだな」と思ってもらって大丈夫です。

日本では、赤ワイン製造においてブドウの果皮を漬け込む工程を呼ぶ時にもこの様に言われ、「マセラシオン」とも言われます。

https://www.craftgin.jp/post/%E3%82%B8%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%A3%BD%E6%B3%95

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