北極圏の厳しい自然から生まれるスピリッツ。NORRBOTTENS DESTILLERI(ノルボッテン蒸留所)のご紹介

スウェーデン最北の北極圏にほど近い場所にある小さな町「トーレ」。その静寂に包まれた風景は、時が止まったかのような錯覚を覚えさせます。この自然豊かな地に、美しいスピリッツ=蒸留酒をつくる『ノルボッテン蒸留所』があります。

北極圏の清らかな水と純粋な空気、そして周囲の自然から得られる素材を活かしたスピリッツは、他の地域でつくられているものとは一線を画しています。

今回の記事では、この美しい蒸留所『ノルボッテン』の魅力と、そこで生み出されるスピリッツについて詳しくご紹介します。

ノルボッテンという土地

ノルボッテンのオーロラ

皆様はスウェーデンという国にどの様なイメージを持たれるでしょうか?首都・ストックホルムについて、歴史的な建造物と現代建築が美しく調和した街並みを思い浮かべる方がいらっしゃるでしょう。

そのスウェーデンの最北部、北極圏にほど近い場所に「ノルボッテン県」という地域があります。海から山に至る広大な土地で、山の頂きからはスウェーデン最高峰のKebnekaise(ケブネカイセ山)を望むことができます。

春には花が咲き乱れ、夏には青々とした草木、秋には色とりどりの紅葉、そして冬には雪が積もり一面の銀世界となります 。冬の日照時間は 1 時間しかなく気温は-30℃まで下がりますが、夏は逆に一晩中太陽が沈まない「白夜」という現象があり、日中の気温は40℃にもなります。

また、北極圏に近いことからもオーロラを鑑賞することもでき、自然の美しさを感じることができる地域となっています。

ノルボッテン蒸留所

ノルボッテン蒸留所は、Dennis Bejedal(デニス・ベジェダル)氏によって2016年に設立されました。

彼はマスターディスティラー=蒸留責任者として製品の製造に携わっていますが、お酒づくりをする人物の中でも異色の経歴の持ち主で、13年間プロのポーカープレイヤーとして活躍し、かなりの実力の持ち主だったそうです。

味覚に対してとても強いこだわりがあり、人生において常に食べ物や飲み物に一番の情熱を持って生きています。ポーカープレイヤーとしてやり切ったと実感した時に、自分が惚れたノルボッテンの気候、自然、風景、きれいな水を一つのスピリッツとして完成させようと思い、ストックホルムからノルボッテンに移住して自身の蒸留所を設立しました。

北極圏に近い環境 「ボスニアン」というテーマ

 「ボスニアン」というテーマ

デニス氏のスピリッツづくりは、「北ボスニア流自然との共存」が指針となっています。厳しい気候条件下で育った野生植物に囲まれて暮らすことは、自然の恵みを最大限に活用しながら、生態系を大切に守りつつ生活することを意味します。

ノルボッテンはボスニア湾に面しており、ボスニア湾はスカンディナヴィア半島の東側とフィンランドの西側に位置するバルト海の最北端に位置しています。

ボスニア湾に流れ込む水は、北極圏に近いノルボッテンの山岳地域から流れ出しており、その澄み切った素晴らしい品質の水をスピリッツづくりの原料としています。デニス氏が旅から帰って来た時に、最初に味わいたいものがその水というほど、彼にとってノルボッテンの水は心身に沁み込んでいます。

そして、ノルボッテンには広大な針葉樹林が広がっており、多様な動植物の生息地でもあります。そこで採れた新鮮なハーブやベリーなどを使用して、ノルボッテン蒸留所のスピリッツがつくられています。

ジンを始めとしたスピリッツ

ジュニパーベリー

現在日本で発売されているスピリッツはジンを中心として4種類です。

Mountain = マウンテン

すべてのボタニカルを蒸留して、その後に水だけを加える伝統的なロンドンのドライジンの製法で製造されています。

マケドニア産のジュニパーベリーを軸として、春先に摘んだ白樺の若葉とアンジェリカ。そこに、ヒマラヤ山脈で採れたティムットペッパーが加えられています。

森林の香りを感じさせながらもスパイシーに仕上げられたバランス感覚を持つジンです。爽快感を感じられるジントニックが楽しめます。

Forest = フォレスト

マウンテンと同じく伝統的なロンドンドライジンの製法でつくられています。

マケドニア産のジュニパーベリー。まろやかな風味のクローブと、手摘みの松の新芽とスプルースの新芽が融合することによって、北欧の針葉樹林の香りを感じさせる、バランスの取れたジンに仕上がりました。

マティーニのベースにも最適で、北極圏の森の香りを感じられるような他のジンでは味わえないような素晴らしい一杯となります。また、ベーコンやバターピーナッツオイルなどの溶かした油脂分を、常温のジンに入れて数時間放置してから冷蔵庫か冷凍庫に入れて固まった油を掬いだし残った香りを楽しむ「ファストウォッシュ法」で作るカクテルも、デニス氏のお気に入りの飲み方です。

Sun = サン

サンフュージョンはシトラス風味のジン。デニス氏にとって太陽とシトラスは繋がっていると捉えられ、それは白夜に対する賛辞の表われでもあります。

完成形のマウンテンフュージョンジンをベースに、イタリアのシチリア島で彼が実際に選んだ木から成るオレンジ、レモン、グレープフルーツを大量に投入し、2回目の蒸留作業をします。

その後、瓶詰め前にスチールタンクで3ヶ月間熟成させることによって味にまろやかさが生まれ、酸味と柑橘類の甘みが引き出されたフレッシュなジンが完成します。

ネグローニに最適で、柑橘のパンチが効いた他とは一味違うようなネグローニが出来上がるでしょう。

Schnaps (Akvavit) = シュナップス (アクアビット) 

4番目のボトルは、北欧では伝統的につくられているスピリッツである「アクアビット」。

アクアビットと言えば、お酒に詳しい方であれば「ジャガイモ」をベースとしたスピリッツというイメージを持たれるかと思いますが、実はどのベーススピリットを使用するかについて、国によって異なる規則があります。

ノルウェーではジャガイモ、スウェーデンでは小麦から蒸留します。ノルボッテンのアクアビットは、キャラウェイとディルの繊細な香りにバタックペッパーの独特の刺激を効かせ、トーストした甘いフェンネルを加えて完成させています。

最後に

ノルボッテン蒸留所

自然とシンプルに繋がる生活。そこから生まれる自然の恩恵をたっぷり詰め込んだ『ノルボッテン蒸留所』のスピリッツ。その哲学は、スピリッツの製法や美しいボトルデザインにも表われており、シンプルながらも奥深い哲学を見て取ることができます。

北欧のエッセンスをたっぷりと詰め込んだジンとアクアビット。ぜひ味わってみてはいかがでしょうか!!
ノルボッテンの製品は、北欧ブランドの雑貨・食品を取り扱う輸入代理店によって日本に紹介されています。気になる方は、輸入代理店 (株)ピーオーエスの公式オンラインショップ 「北欧雑貨」からご確認ください。