PLOW 五霞蒸留所 【ネッシーさんの!突撃!隣の!クラフトジン製造所!vol.012】

ゲストライター
ネッシーさん

ご存知スコットランド出身のUMA(Undoubtedly Magnificent Animal)。吉祥寺The Wigtownに時折現れる。趣味は蒸溜所巡り。気になったことにはなんでも答えてくれる対話型検索エンジン「ネッシーさんAI*」開発中

スコットランド出身のネッシーさんが寒さなんてへっちゃらみたいな感じで日本全国のクラフトジン製造所を巡るシリーズ。
第12弾となる今回は、茨城県五霞町で「PLOW」というブランドを製造している五霞蒸留所を訪れました。

吉祥寺からは電車を乗り継いで2時間ほど。埼玉と茨城の県境、五霞町にある蒸留所に到着です。
こちらの蒸留所ができたのは2023年9月のこと。
都内で店舗デザインや飲食店展開をしているorchard株式会社によって設立されました。

最寄りのバス停からGoogleマップ先生の指し示す場所を目指し「そろそろこの辺なんだけどなー」みたいな場所に到着しても、それらしい建物が見えない。「あれれー?」と思いつつ、とある民家のガレージに近づいていくと。。

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シャッターが半分開いたガレージがあるな。。中を覗き込んでみると。。
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イケてる

民家の一階を改装して作られた蒸留所が。
外からはまさかこんなところに蒸留所があるとは想像もつかないような場所ですね。
蒸留家の石川さんにご挨拶をして見学を開始です。

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スチルは中国製のハイブリッド

石川さんは元々クラフトビールメーカーにお勤めだった方。しかし当時は製造に携わっていたわけではなく、酒造はこちらのPLOWが初めてとのことで、試行錯誤をしながら日々求めるクラフトジンを探求しております。

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ストックルーム。手前にはニガヨモギ

スチルのサイズは300リッター。しかし300フルフルでスピリッツを張り込むことはほぼなく、だいたい150リッターくらいでワンバッチを仕込んでいるとのこと。
ポットスチルとカラム両方を用途によって使い分け、また製造方法もワンショットとブレンドを組み合わせたハイブリッドな製造方法で仕上げているということです。ベースはモラセススピリッツで、ワンバッチで500mlボトル換算だいたい600本くらいになるそうです。

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「スパイス」と書かれたタンクにはアンジェリカ、コリアンダー、カルダモン、オリスルートをワンショットであげたスピリッツが保管されている
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ジュニパーベリー。現在はセルビア産を使用しております
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商品の数々。今まで商品化したボトルは20種類を超える
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ラベルは一枚一枚手作業で貼られております

こちらの蒸留所はジンだけでなくラムやアブサンも製造しており、中にはリンゴや桃といったフルーツを醗酵・蒸留してフルーツブランデーなどの製造も。こうしたフルーツブランデーをジンと組み合わせることで、よりユニークでバラエティ豊かなジンを生み出しております。
フルーツをボタニカルとしてのみ使用するのではなく、一回ブランデーを造ってからブレンドするという手法をとっているのは注目ですね。ひと手間かけている感じがします。

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さまざまなシトラス
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摘果や規格外のものを使用しているとのこと
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試作用のミニスチル。めちゃめちゃガムテで補強してはる

そしてこの蒸留所最大の特徴というのが、自社ハーブガーデンで育てたハーブをボタニカルとして使用しているということ。
石川さんが畑を始めたのは、蒸留所のオープンよりさらに3、4年前。都内の飲食店で勤めるうちに自然農法や不耕起栽培に興味を持つようになり、親戚の畑を借りてやり始めたのがきっかけだそうです。当初は農業も未経験だったため手探りの状態からスタート。少しずつ種類や収穫量も増やしていき現在では15種類程度のハーブを育てているということです。

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ハーブガーデン

お邪魔したのはまだ寒さの残る3月上旬。季節的にまだガーデンは寂しい雰囲気でしたが、それでもいくつかのハーブがこぼれ落ちたように緑を輝かせておりました。

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ジュニパーの苗木も
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よく見るとレモンバームの葉が小さく姿をのぞかせている
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ローズマリーや
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ラベンダーや
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ボリジなど
畝らしきものも作られている

ジンの製造を始めるまではこちらのハーブガーデンで収穫されたハーブでハーブティーなどを製造して販売していたこともあるんだそう。
こちらのガーデンで収穫したハーブのみをボタニカルにしたジンの製造を目標に、少しずつ試行錯誤されている様子が伺えました。この畑で採れたハーブだけで造ったジンはとてもスペシャルなものになりそうですね。しかし、ほとんどお一人で畑からジンの製造まで行うとなると、とんでもなく大変ですよね。とんでもないなって思いました。

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倒木にはめっちゃ巨大なキノコが
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コブシの花芽。とても強いむわっとした香り。いい匂い

「PLOW」というブランド名は英語で「耕す」という意味の単語。
未経験の状態から畑を始め、ジンの製造を始めて、新たな価値を生み出してきたこちらのブランドは、まさしく未開拓の地を耕してきたブランドということができそうですね。

「クラフト」の精神に必要なフロンティアスピリットをもって、新しいライフスタイルをデザインしていく。

これまでにリリースされた20種類を超える商品は、小規模クラフトジンメーカーが1年間に出す商品としては驚くほど多作で、溢れるアイデアを次々と形にしてきたことが伺えます。
それらはそのまま、彼らが耕してきた地平を示すポートフォリオになるようなもので、ドライジンに収まらない様々なアプローチも含めて、彼らの好奇心と開拓者精神を示すようなボトルたちということが言えるでしょう。

これからもそのアイデアとセンスでどのような商品を生み出してくるのか、とても楽しみな蒸留所。
都内にはこちらのブランドの旗艦店となる飲食店もあるので、美味しいジンを飲みながら、どうぞブランドの魅力をお楽しみくださいませ。

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東京目黒にある旗艦店「Até」ではボトルも買えるよ
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イケてるね

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