ジンの定義 第一の分類 『Gin(ジン)』

ジンの定義

メインの記事でご紹介していますが、EU法に定められているジンの定義において、

「ジン」 という蒸留酒は大きく分けて下記の3種類のカテゴリーに分けられています。

  • Gin 『ジン』
  • Distilled Gin『蒸留ジン』
  • London (Dry) Gin『ロンドン(ドライ)ジン』

EU法におけるジンの定義は2008年2月に制定され、

その後2019年4月にnew 2019/787 legislationとして改訂が行われました。

大きな部分での改訂点はありませんがとても細かい部分が変更となっています。

その改訂版を元に3回の記事に分けて、3分類のジンの定義をご紹介していきます。

ちなみに、上記の定義の3つのカテゴリーは1つごとに製法がどんどん厳格化されていきますが、厳格化されたからと言ってクオリティーが高い低いということはありません

全ては作り手の狙いがあってそれぞれのジンが出来上がるので、結果的にどれかのカテゴリーに分類されます。

では、第一弾である今回は、一番ルールがゆるくて全てのジンの大元となる 『ジン』についてご紹介です。

そもそもジンとは

大麦、ライ麦、またはブドウやリンゴなどといった、穀物や植物など農作物由来の素材をアルコール発酵させて醸造酒を作り、それらを蒸留することによって「ベーススピリッツ」が精製されます。 (おすすめ記事:いわゆるジンのベーススピリッツとは?)

そのベーススピリッツに、ジンにとって必須の素材である「ジュニパーベリー」や他のボタニカル(スパイス、ハーブ、フルーツなど)を加えて風味付けがされたものが「ジン」と呼ばれるお酒です。ボタニカルを加えてから再度蒸留することが一般的ですが、その工程を経ないジンも存在します。(おすすめ記事:ボタニカルとは?)

本当にざっくり言ってしまえば、ベーススピリッツにジュニパーベリーを加えればジンと呼ばれるお酒になります。

その様に製法に縛りが少ない点が、とても自由度が高く作り手の個性が出やすいお酒ですね。

第一の分類 Gin『ジン』

実は 『ジン』という分類は、前項の内容でおおよそ説明がついてしまいます。

全てのジンはこの分類の中に当てはまっていて、その包括的な括りの中により規定が細かい『蒸留ジン』や『ロンドンジン』も含まれています。

  • Gin 『ジン』
  • Distilled Gin『蒸留ジン』
  • London (Dry) Gin『ロンドン(ドライ)ジン』

それではEU法に基づいた詳細なジンの定義を見ていきましょう。

EU法における Gin『ジン』の定義

(a)Gin is a juniper-flavoured spirit drink produced by flavouring ethyl alcohol of agricultural origin with juniper berries (Juniperus communis L.).

ジンとは、農産物を由来として作られたエタノールを元に、ジュニパーベリーを加えて製造されるジュニパー風味の蒸留酒である。

(b)The minimum alcoholic strength by volume of gin shall be 37,5 %.

ジンのアルコール度数は37.5%以上でなければならない。

2008年の時にあった’ nature-identical=自然由来’という文言が削られています。

(c)Only flavouring substances or flavouring preparations or both shall be used for the production of gin so that the taste is predominantly that of juniper.

ジンの製造には、ジュニパーの風味が主体となるように、香気物質と食品香料を使用することができる。

この項目が新たに増えています。

(d)The term ‘gin’ may be supplemented by the term ‘dry’ if it does not contain added sweetening exceeding 0,1 grams of sweetening products per litre of the final product, expressed as invert sugar.

完成後のジンに1リットルあたり0.1グラム以下の(転化糖と表現される)砂糖を添加しない場合に、’ジン’ は ‘ドライ’ という言葉で補完される。

まとめ

EUにおける『ジン』という大きい分類においては、農作物由来のベーススピリッツに必須の素材であるジュニパーベリーや他のボタニカルを加えて風味付けをし、37.5%以上のアルコール度数があれば、その他の条件に色々と違いはあれど「ジン」と名乗ることが出来ます。

しかしこれはあくまでEUが定める所なので、例えば、アメリカにおいては40%以上のアルコール度数が必要であることなど、国によってその条件に違いはあります。

細かい点を除けばジンはジュニパーベリー入りの蒸留酒ということなので、作り手の個性によって可能性が無限に広がるお酒と言えるでしょう。個々のジンの個性を楽しみながら、ジンライフを楽しんでいきましょう!

出典:EU法におけるスピリッツの定義

Regulation (EC) No 110/2008 15 January 2008 発布当初 | Regulation (EU) 2019/787 17 April 2019  改訂版