ジンの定義 第二の分類 『Distilled Gin(蒸留ジン)』

ジンの定義  3種類のジンの分類2つ目『蒸留ジン』

前回の記事においてはEU法における『ジン』の分類をご紹介しました。

今回の記事では、2つめの分類である Distilled Gin 『蒸留ジン』に焦点を当てていきます。

第二の分類 Distilled Gin『蒸留ジン』

この『蒸留ジン』という分類は、実は、第一の分類である『ジン』という大きなカテゴリーの中に含まれているより細分化した分類です。

その大きな違いとして、蒸留して製造されたベーススピリッツを「再蒸留」するという工程が含まれています。ではその詳細な内容を見ていきましょう。

(硬い文章で詳細な定義が書いてありますので、おおよそを知りたいという方は「まとめ」の部分まで飛ばしてお読みください。)

EU法における Distilled Gin『蒸留ジン』の定義

person holding magnifying glass
(a)Distilled gin is one of the following:
(i)a juniper-flavoured spirit drink produced exclusively by distilling ethyl alcohol of agricultural origin with an initial alcoholic strength of at least 96 % vol. in the presence of juniper berries (Juniperus communis L.) and of other natural botanicals, provided that the juniper taste is predominant;]

(a)蒸留ジンとは下記の様に規定される

(i)農産物を由来として精製された96%以上のアルコール度数を持つエタノールと共に、ジュニパーベリーと他の自然由来のボタニカルを加えて蒸留されるジュニパー風味の蒸留酒である。ジュニパーの風味が主体とされる。

(ii)the combination of the product of such distillation and ethyl alcohol of agricultural origin with the same composition, purity and alcoholic strength; flavouring substances or flavouring preparations as specified in point (c) of category 20 or both may also be used to flavour distilled gin.

2008年の時にあった’ nature-identical=自然由来’という文言が削られている。

(ii)もしくは同等な組成や純度、及びアルコール度数の農産物由来のエタノールを混合したもの。『ジン』の分類の項目で述べられたような香気物質と食品香料、あるいはその両方を使用して蒸留ジンにフレーバーを付けることができる。

(b)woThe minimum alcoholic strength by volume of distilled gin shall be 37,5 %.

(b)ジンのアルコール度数は37.5%以上でなければならない。

(c)Gin produced simply by adding essences or flavourings to ethyl alcohol of agricultural origin shall not be considered distilled gin.

(c)農産物由来のエタノールにエッセンスや香料を加えるだけで製造されたジンは、蒸留ジンとは見なされない。

(d)The term ‘distilled gin’ may be supplemented by or incorporate the term ‘dry’ if it does not contain added sweetening exceeding 0,1 grams of sweetening products per litre of the final product, expressed as invert sugar.

この項目が新たに増えている

(d)完成後のジンに1リットルあたり0.1グラム以下の(転化糖と表現される)砂糖を添加しない場合に、’蒸留ジン’ は ‘ドライ’ という言葉で補完される。

まとめ

おおまかに言ってしまえば、『ジン』という大きな括りにおいてボタニカルを加えてからの「再蒸留」が決して必須では無いことに対して、Distill = 蒸留 という言葉が付けられていることからも分かるように『蒸留ジン』においてはボタニカルとの再蒸留の工程が必須です。

その他の点においては、アルコール度数が最低37.5%ということや、添加物を加えて良いということなどは『ジン』という大きなカテゴリーと変わりがありませんね。

もう一つの大きな違いとして、ベーススピリッツのアルコール度数が96%以上という条件があります。

また別の記事で紹介しますが、これだけの高濃度のアルコール度数を得るためには「連続式蒸留機」と呼ばれる、よりクリアなスピリッツを精製できる蒸留器を使用しなければなりません。

その様な機材の観点からみて、ベーススピリッツから製造するジンメーカーがある一方で、ベーススピリッツは外注して取り寄せるというメーカーの両方が存在します。

つまり、ジンを作る際には1つのメーカーが最初から最後まで全て自社で製造するという決まりも無いことになりますね。

出典:EU法におけるスピリッツの定義

Regulation (EC) No 110/2008 15 January 2008 発布当初
Regulation (EU) 2019/787 17 April 2019  改訂版