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ご存知スコットランド出身のUMA(Undoubtedly Magnificent Animal)。吉祥寺 The Wigtown に時折現れる。趣味は蒸溜所巡り。第二回クラフトジン甲子園 応援イメージキャラクターとして活躍中
ネッシーさんがその光るまなこで国内のクラフトジン製造所を視察に伺う突撃企画。
番外編となる今回は、ネッシーさんの故郷であるスコットランドの蒸溜所アイル・オブ・ハリス蒸溜所を訪れました。
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東京からドバイを経由しグラスゴーまでおよそ20時間。グラスゴーから国内線に乗り換え1時間ほどで、今回の目的地であるハリス島に接続している隣の島、ルイス島に到着します。
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ルイス島の都市であるストーノウェイは潮の香りが漂う港町。
道路標識などでは英語よりもゲール語表記の方が上にくるような場所で、スコットランド本土とも微妙に異なる文化を持つ土地です。
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ルイスとハリスは異なった島の名前がついてはいるものの陸続きで移動することができます。
ストーノウェイからはバスでの移動。車窓には雄大なアウターへブリディーズの景色が映し出されます。
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雄大な景色に圧倒されながら1時間ほど。ハリス島の中心地であるターバートへ到着します。そしてそのターバートの中心にあるのが今回の目的地、アイル・オブ・ハリス蒸溜所です。
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町の中心とはいえ、ターバートにはホテルが数軒とお土産屋さんが数軒ある程度で、本当に小さな町。こんな小さなところにある蒸溜所の商品が、はるばる日本に渡ってわれわれが口にしているなんて考えると、なんだかあり得ないような気持ちにもなりますね。
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周りをぐるっと回った後で、いざ建物の中に入っていくと、まず出迎えてくれるのがこちら。
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この日は、ちょうど彼らにとって初めてのウイスキーである「ヒーラック」のリリース情報が解禁になった翌月曜日。
ビジターセンターの片隅には、ジンだけではなくウイスキーのリリースを告知するポスターもでかでかと貼られておりました。
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せっかくなのでビジターセンター内にあるショップの様子も。
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なかでも面白かったのがこれ。
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普通にガーニッシュ用のグレープフルーツが売ってるのには笑いましたね。
みなさん、ハリスジンにはグレープフルーツがベストマッチですからね。覚えておきましょうね。
そうこうしている間にツアーの時間に。参加者みんなで集まってショップの隣にある部屋へと移動します。
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こちらで開催しているツアーは、ハリス蒸溜所が手がけているジンとウイスキー、両方について学べます。
最初にガイドさんによる蒸溜所の歴史やブランドの概要を案内を聞きながら、目の前に並んだ2杯のグラスをテイスティングしていきます。
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先ほども述べたように、この日はハリス蒸溜所からの初となるウイスキー「ヒーラック」が告知された直後。もしかしてそれが試飲できるのかも!とテンションが上がりましたが、こちらの色付きの液体は、他の蒸溜所である「ハイランドパーク」の12年ものとのこと。ガイドさん曰く「同じアイランズモルトとして、我々が造るウイスキーの味わいをイメージしてもらうため」と。すわヒーラックが飲めるのかと期待したテンションもやや落ち着き、ざーんねん、など思いながらもう一つのグラスである無色透明のニューポットも味わいます。
ハリス蒸溜所では主にコンツェルトという大麦品種を使用したピーテッド麦芽を使用するとのこと。発酵時間は最大120時間にも及ぶとのことで、これはかなり長いですね。長時間発酵によるフルーティなアロマがニューポットの時点でも感じられ、彼らのウイスキーがより楽しみになる味わいでした。
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壁に飾られているウールロールは、それぞれピートや麦芽の甘さ、フルーティさや樽由来のアロマを表現しているということで、それぞれのプロファイルをどのように組み合わせて彼らのウイスキーが造られるのかを視覚化しているとのこと。ハリス島といえば「ハリスツイード」に代表される織物でも有名な島。島の名産を使っていて可愛らしいですね。
ウイスキーの熟成に使用する樽も、基本はバーボン樽はバッファロートレースかヘブンヒル、シェリー樽はフィノかオロロソを使用する、ということで大変興味深い。
シェリー樽でフィノを使用するのは珍しく、またPX(ペドロヒメネス)樽を使用しないというのも気になったので「なんでPXは使わないの?」と尋ねてみると「私たちの求めるスピリッツにPXは強すぎるのよ」との答えが。樽の供給源の関係もあるかとは思いますが、ウイスキーというロングタームのものづくりにおいて、求める方向性を見定めて製造を行なっているように感じました。
最初の部屋を抜けると今度は建物の2階のフロアへ。
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こちらでは、一般的なウイスキーやジン製造のプロセスを説明してくれながら、ジンの試飲もさせてくれます。
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しっかりとウイスキー&ジンの製造プロセスを学んだうえで、いざ実際の製造ルームへと乗り込みます。
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ここでは麦芽の粉砕から糖化、発酵、蒸溜に到るまでのプロセスが全てひと所にまとめられている。
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全部で8槽。全てダグラスファー製です。
ここで麦芽ジュースの中にアルコールが生まれます。イーストは偉大だね
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ボディの途中に接続している小さいラウンド型のボックスは圧を逃がすための装置だとのこと
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さて。ぐるっとウイスキー製造のプロセスを見て回ったはいいものの、肝心のジンを製造しているスチルが見当たらない。はて?など思いながら改めて室内を見渡すと、部屋の片隅にガラスで区切られた小部屋があり、その中にまた趣の違ったポットスチルが佇んでいるのを発見します。
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ウイスキー用のスチルと同じくイタリアのフリッリ社が製造したこちらのスチル。
いわゆる「T字シェイプ」と呼ばれるネックの形をしており、ネックの途中からコンデンサーへと繋がるアームが伸びているのが確認できますね。珍しいです。
また、コンデンサーに向かってアームがやや上向きに伸びているというのも注目ですね。よりクリーンなスピリッツを取り出そうという意図が見て取れます。
「ドタック」という愛称は、かつて島にいた小さくて元気いっぱいな地元の女性になぞらえて名付けられたとのこと。地域密着を謳うハリス蒸溜所らしくて可愛らしい愛称です。
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ハリスで使用するボタニカルは全部で9種類。
キーボタニカルとなるシュガーケルプとその他の8種類のボタニカルは別々にニュートラルスピリッツに24時間浸漬され、その後合わせられてこちらのジンスチルへ。
シュガーケルプを除く8種のボタニカルは袋に詰めて一緒にスチルの中に放り込まれ、そのまま加熱して蒸溜が行われます。
ヘッド、テールをカットした後、蒸溜所付近を流れる小川「アビンノック ア カーレイン」の軟水で調整してボトリングされます。
カットしたヘッド&テールが再び製造に使用されることはなく、彼らは常に慎重に見定めたミドルカットのみを使用することで、ジンの味わいをよりピュアに、洗練されたものへと仕上げております。
ハリス島の柔らかい水で仕込まれたジンを、ハリス島の自然をイメージしたボトルに一つ一つ手詰めでボトリングしていき、見慣れた美しいハリスジンが完成するわけですね。ハリス島の味わいが込められているわけです。
製造規模は決して大きなわけではなく、造り自体も大変に丁寧。
一本一本想いの込められたボトルが、遠く離れた日本でも普通に飲めるというのはありがたいことですね。
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ハリス島が属する「アウターヘブリディーズ」と呼ばれる島々は、スコットランドの中でも辺境の地。本土とはまた違った独自の文化を育んでいる土地です。
かつては盛えた町も現在では本土への人口流出が進み、島民の高齢化などの問題を抱えるようになっておりました。
ハリス蒸溜所が掲げる「ソーシャルディスティラリー」の考えは、島内の雇用創出をはじめとした島の再活性化を念頭に置いたものです。
ジンだけではなくウイスキーという長期的視野を必要とする製品を生み出す蒸溜所の建設は、恒久的な雇用や観光資源の創出を可能とするもので、それをきっかけに島に戻ってくる若者や観光客を増やしたいという考えからでした。
当初、わずか10人の島民たちで始まったハリス蒸溜所はいまや40人を超えるスタッフを抱え、そこで造られる製品は日本を含む世界中で愛されているというのですから素晴らしいですよね。蒸溜所のスタッフ一人一人が、自分たちが生み出す商品と、そして何より美しい島の魅力を発信できることに誇りを持っているように感じました。日本から行くにはちょっと遠いですが、美しい自然と美味しいジン、そして何よりそこに暮らす人々の豊かな文化と温かなホスピタリティは、ちょっとくらい遠くても行く理由になるには十分すぎるくらいですね。そろそろウイスキーもラインナップに加わるということですし。ネッシーさんを育んだスコットランドの美しい自然を味わいに、ぜひ足をお運びくださいませ!
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