【THREE KINGS 東方ノ三賢人】エキゾチックなエッセンスを詰め込んだクラフトジン

近年、ジャパニーズジンの市場は右肩上がりに成長しており、日々新しいジンが日本各地からリリースされ続けています。

その中でも、2024年2月に登場した【THREE KINGS 東方ノ三賢人】と名付けられたジンは、今までの常識を覆すような素材を使用しており、非常に珍しいコンセプトのジンとしてデビューしました。

このジンは、埼玉県の飯能市にある CARVAAN Distillery (カールヴァーン ディスティラリー)において製造されており、2023年にできた新設の蒸留所でありながらも、蒸留所の個性を最大限に活かしたジン造りを行っています。

今回の記事では、そんな【THREE KINGS 東方ノ三賢人】(以下:THREE KINGS)の魅力に迫っていきたいと思います。

世界中の文化を 世界の東の果てまで FAR EAST

FAR EAST INC.

THREE KINGSを製造するカールヴァーン ディスティラリーは、「FAR EAST INC.」によって運営されており、同社にしかできないような蒸留酒=スピリッツを造る蒸留所として2023年に設立されました。

FAR EAST INC.・代表の佐々木敏行さんは20代の頃に世界各地を放浪してきた人物で、インドのヒマラヤで採れる岩塩を輸入する事業を立ち上げました。ヒマラヤ岩塩は今でこそ一般にも馴染みがありますが、食用塩として日本市場で初めて輸入販売を始めたのが同社ということですから驚きですね!

そして2011年。東京・二子玉川に「FAR EAST BAZAAR」と名付けた店舗をオープン。世界各地の塩やドライフルーツ(トルコのイチジク、エジプトのデーツなど)のほかナッツやスパイス、ハーブ、オリーブなどの輸入食材を世界感と併せて提供する会社としてその規模を拡大していきます。

2017年には、埼玉県の飯能市にレストラン「CARVAAN(カールヴァーン)」がオープンします。地中海やアラビアの料理をベースとした料理が提供されており、一皿一皿に古代メソポタミアから始まった文明の歴史と文化が、時代を越えて映し出されています。

明治の文明開化の洋館をモチーフとした木調の洋館のレストラン。

明治の文明開化の洋館をモチーフとした木調の洋館のレストラン。そこには、エジプトやトルコ、ギリシャ、アラビア地域から集められた調度品が並び、東西の文化が交差する空間が演出され、まるで博物館の中にいるような気分で料理やお酒を味わうことができます。

現在では渋谷と横浜にも系列店を構え、関東・中部・関西地方には、輸入食品やジェラートを扱う「FAR EAST BAZAAR」を展開しています。また、ジョージア(旧グルジア)、ヨルダンなどの地域で生産された土着葡萄のワインや、ジョージアやカンボジアなどの日本人にとってあまり馴染みの無い地域で、トラディショナルに造られている蒸留酒の輸入も行っています。

「キャラバン(商隊)」

古代ペルシャ語でカールヴァーンは「キャラバン(商隊)」を意味しており、「世界にはみんなが知らない素晴らしいものがまだまだ沢山ある…」というテーマで、世界各地から珍しい品物を集めて、FAR EAST=日本に紹介しています。

Carvann(カールヴァーン)BREWERY & DISTILLERY

2017年、飯能にCARVAANのレストランがオープンした際に、レストランに併設されたのがビールの製造をする「カールヴァーン・ブルワリー」です。

ビールについての最古の記録は、古代メソポタミア時代の粘土板に描かれたものとされており、そのビールの歴史の原点を深く探りながら、イマジネーションや歴史や文化を掘り起こすようなオリジナルビールが造られています。

カールヴァーン・ブルワリーで造られるビールは、ジュニパーベリーなどやシトラスピールといった、ジンにも使用されるようなボタニカルを材料に造られている銘柄もあり、ジンを造る際のボタニカルの使い方にも非常に精通しているということが言えるでしょう。

そして、2023年に飯能のレストラン・ブルワリーに併設する形で「CARVAAN DISTILLERY」がオープンします。

蒸留器は、世界有数の蒸留器メーカーであるアーノルド・ホルスタイン社のオーダーメイド製です。蒸留器の部分が玉ねぎのようなフォルムとなっていて、それもエキゾチックな異国感があって雰囲気があります。特に日が落ちて暗くなってからは、暗闇に浮き上がって見える蒸留器がかっこいいですね!

蒸留責任者の木村栄さんは、13年間もの間ブルワリーでビールの醸造を続けてきた人物で、この度、ジンを始めとする蒸留酒の製造責任者にも携わることとなりました。

木村さんはジンもかなりお好きで個人的に飲まれていた人物ですが、蒸留を開始するにあたり、『火の帆』ジンで有名な北海道の積丹スピリッツで蒸留について学び、その際に、『火の帆』に使われている素材が北海道だけに自生するユニークな植物を使用であることに衝撃を受けました。

そして、世界の珍しい素材を扱う貿易会社であるという強みを前面に押し出したボタニカルであり、歴史と文化が薫る「乳香」を使ったジンを造ることを目指すCARVAANディスティラリーに於いて、この特別な素材の香りを抽出することに専心しました。

ジンを造る前段階で、まず乳香のみを蒸留したスピリッツを開発することに成功。これはかつてないスピリッツで、そこからさらにジンのボタニカルと使用できないかということで試行錯誤を重ね、ついに個性を活かしたジン【THREE KINGS 東方ノ三賢人】が出来上がります。

そして乳香のみのスピリッツも、アラビア語で乳香の意味である【Al Lubaan アッルバーン】と名付け、ジンと共に蒸留所初のラインアップとして2024年2月15日に発売を開始しました。

【THREE KINGS 東方ノ三賢人】

写真左から THREE KINGS 100ml / THREE KINGS 500ml / Al Lubaan 500ml / Al Lubaan 100ml

カールヴァーン蒸留所で造られる【THREE KINGS 東方ノ三賢人】と名付けられたジン。今までのジンの常識を覆すようなジンですが、どの様な特徴があるのでしょうか。

ジンに込められたストーリー

ジンの名前が、このジンに込められたストーリーを物語っています。

新約聖書でキリスト生誕のストーリーが描かれている章において、三人の賢者が贈り物を持ってキリストのもとに訪れたというお話があります。そして、その時の贈り物が「黄金」「乳香」「没薬」とされており、その物語になぞられてジンの素材が決定されています。

THREE KINGSにはボタニカルに、「乳香=フランキンセンス」と「没薬=ミルラ」が使用されており、さらに、ラベルのデザインの黄金色の文字によって、もう一つの贈り物である「黄金」が表現されています。

ボタニカルと味わい

ジンは一般的に、農作物由来のスピリッツ=蒸留酒をもとにして、そこにボタニカル(スパイス、ハーブ、フルーツなど)を加えて再蒸留をして造られます。その際、ジュニパーベリーをボタニカルとして加えることが必須であり、その他のボタニカルは自由で良いという非常に自由度の高いお酒です。

THREE KINGSは、ジンに必須のボタニカルであるジュニパーベリーを始めとして、乳香と没薬、そして、オーストラリア原産でアボリジニのハーブと言われるレモンマートルの計4種類のボタニカルで構成されています。

それらのボタニカルを一種類ずつ個別に蒸留して、出来上がったスピリッツをブレンドしてジンが完成します。

フレッシュな風味を持つレモンマートルの清涼感。それとは対比になるような乳香のミルキーな清涼感。そして、没薬によって中間の厚みをしっかりと持たせることによって、複雑でアロマティックな味わいと同時に、エキゾチックな感覚を呼び起こさせる風味に昇華されました。

乳香=フランキンセンス=アッルバーン

乳香

アロマに詳しい方であれば、乳香という名前は耳にしたことがある素材でしょう。

樹脂を固めた香料で、乳香の木はアラビア半島からアフリカ大陸の北部に分布しており、その樹皮に切り込みを入れ、そこから出てきた樹脂が白く固まったものが乳香として流通することとなります。

古代から貴重なものとして珍重されており、現在でもイスラム教のモスクでお香として焚かれています。アロマオイルや香水、お香などに使用されることが一般的で、ジンのボタニカルとして使用されるのは非常に珍しい素材です。

THREE KINGSで使用される乳香は、世界有数の生産地であるオマーンから輸入されたもので、以前から中東の食品を輸入してきた貿易会社ならではの素材と言えるでしょう。

その味わいは非常に複雑で、ミルキーでありアロマティック。口に含んだ瞬間からフィニッシュまで、味わいのグラデーションが変化するような特殊なボタニカルです。

没薬=ミルラ

ミルラ(没薬)

没薬は、乳香とともに古代エジプトから重要に取り扱われていた香料で、高価なものとして珍重されていました。没薬も乳香と同様、木の樹脂が固まってできたものですが、樹液が黒いことが特徴的でゴツゴツした岩の様な見た目となっています。

海外ではミルラという名前ですが、実は「ミイラ」の語源となった言葉で、古代ではミイラの防腐剤として使用されていました。

没薬と乳香は同じ種族の木から採れますが、風味のキャラクターは全くと言っていいほど違います。スパイシーでウッディーなノート、単体だと苦味があり非常にクセが強く、熱を加えることによって芳香性が立ち上がります。

ソマリア産のものがボタニカルとして使用されており、没薬を加えることによって土台がしっかりし、ミドルノートに厚みを持たせることとなっています。

没薬も香水やお香として使用されることが一般的であり、世界中を眺めても没薬を蒸留してお酒を作るという前例がなかなか見当たらないボタニカルです。

アラビアのランプをモチーフにしたボトルデザイン 

そして、THREE KINGSの最大の特徴の一つに、個性的なボトルデザインがあります。

ボトルの形はアラビアのランプをモチーフとしており、オリジナルで作成されています。ガラスは一本一本が職人の手によって手吹きによって作られており、ほんのりとスモークを入れることによって落ち着いた表情の美しいブルー色に色付けられています。

ジンにおいてはボトルデザインにも多様性があり、それぞれの銘柄のデザインを楽しむことがジンの魅力の一つでもありますが、アラビアをモチーフとしたデザインはなかなかお目にかかれるものではありません。

アラビアのエキゾチックな感覚を感じることができる、世界まれに見るボトルデザインと言えるでしょう!

最後に

【THREE KINGS 東方ノ三賢人】は、かつてないような個性が詰め込まれたジンであり、すべての個性がFAR EAST INC.という会社にしかできないような世界観で出来上がっています。

古代メソポタミアから綿々と続く文明の歴史。それを紐解き続けてきた彼らにしか作れないコンセプト。素材に関しても、アラビアの食品を輸入してきた経緯があってこそのものです。

世界各地の歴史と文化を映し出し、遥か昔から在り今も在り続けるものを伝える、それもFAR EASTらしく独創的な表わし方で。

その先は、受け取る人それぞれの中で昇華するに任せる。

その様な使命感から始まり、これからも、人々が見たこともない様なコンセプトのジンをリリースしていくとのことです。将来の展望も非常に楽しみですね!

まずは【THREE KINGS 東方ノ三賢人】を味わい、そのエキゾチックな世界観に身を浸してみてはいかがでしょうか!

ご購入はCARVAANオンラインショップから

一部写真提供:株式会社FAR EAST

参考サイト

FAR EAST INC.公式ホームページ
CARVAAN公式ホームページ