日本のクラフトジンブームはとどまることを知らず、新製品が常にリリースされ続けています。
そんな中、一風変わったジャパニーズジンが千葉県野田市から生まれようとしてます。
今回ご紹介するジンは『TL PEARCE(TLピアス) トーキョー・ドライ・ジン』と名付けられ、なんと2人のアメリカ人によって作られています。
2022年8月に発売予定。 7/25に発売が決定しました!発売前の7月18日からポップアップイベントが開始されます。
Gin Lab編集部はジンのリリースに先駆けて、蒸溜所見学とインタビューをさせてもらうことに成功しました。
今回の記事では『TLピアス・ジン』の魅力について余すことなくお伝えします!
お酒を知り尽くした2人の蒸溜士
ボブさんは、剣道の高段者で高校生の時に日本に留学したのがきっかけで、その後、日本に在住している間にウイスキーの美味しさに目覚めお酒の道に進みました。サントリーへの入社と同時にマッカラン蒸溜所に蒸溜修行へ。帰国後に『ザ・マッカラン』のアンバサダーに就任し、その後も『タリスカー』『グレンモーレンジィ』『アードベッグ』と言った錚々たるスコッチの蒸溜所で経験を積みました。
現在は、MHDモエヘネシーディアジオのシングルモルトアンバサダーに就いており、ビールのブルワリー『Tokyo Aleworks(トーキョー・エール・ワークス)』のタップルーム責任者でもあります。
マイケルさんは、なんと「忍術」の修行の為に30年以上前に日本に渡り、千葉県野田市にある武神館本部道場において、世界で一番有名な忍術と言われる初見良昭氏に忍術の指導を受けました。
日本で生活を営むかたわら、ベルギーに渡り『サース蒸溜所』にて蒸溜を徹底的に学びました。
お二人は武道という共通点があり、どちらものめり込んだら徹底的に極めなければ気が済まないタイプですが、その性質は違っています。お酒についての広い知識を持ち、講習会などで講師に呼ばれたりと、プロモーター的にも精力的に活動するボブさん。一方、マイケルさんは研究に没頭するアーティストタイプで、ご自身の生み出すプロダクトに一切に妥協を許さない方です。日々の蒸溜作業はマイケルさんによって行われています。
お二人とも本当に人柄が良く、お互いの個性の違いを尊重しているのでとても良いシナジーが生まれています。
今回はボブさんが『TLピアス・ジン』の魅力について、とても気さくに答えてくれました。
こだわりのジンづくり。合い言葉は「Be Classic!!」
ジンを作ろうと思ったきっかけはどの様なものだったのでしょうか?
また、どうして千葉県野田市に蒸溜所を設立しようと思ったのでしょうか?
もともとマイケルとはビール好きの友達同士で、いつか一緒にビール作りをしたいという話をしてました。
ところが、マイケルがベルギーで作っていた試作のジンがあまりに美味しくて、ジン作りがしたいと思うようになったんです。
マイケルの奥さんのご出身地で、マイケル自身も忍術の修行をしていた場所でもあるということで、蒸溜所の場所は野田に決まったんです。
お二人が海外での蒸溜経験があるということですが、日本でジンづくりをして「トーキョー・ドライ・ジン」という形にしたのはとても面白いですね。
ジンづくりのテーマなどあったらお聞かせください。
「マッサン」の竹鶴政孝さんの考え方を実践したいと思っています。
彼はスコッチの技法を現地で学んで、その知識を日本に持ち帰ってきて本格的なウイスキーづくりに情熱をかけました。
私達も、日本のローカルボタニカルを使って日本らしさを強調するジャパニーズジンとは違った方法で、海外の伝統や技術を尊重しながら新しいもの作りをしたいと思っています。
そういう訳で、乾杯の時の挨拶も含めて合い言葉は「Be Classic(ビークラシック)!!」にしてます。
日本最大級のサイズを誇るハイブリッド蒸溜器
しかし本当に大きな蒸溜器ですね。一回の蒸溜でどのくらいのジンが作れるのですか?
最終的に2100リットルのジンを一回で作れるんです。
このタイプの蒸溜器としては日本で最大級のサイズでしょう。ジュニパーベリーを業者さんに発注する時も一回で100kg頼むんですよ。業者さんも「一桁間違ってませんか」と言ってくるくらい、一回の蒸溜で大量のボタニカルを使用します。
すごいですね!!どの様にしてこの蒸溜器を選んで設置したのですか?
外国製なんですがオーダーメイドで発注しました。結構こだわりがあって、パイプ(スワンネック)の角度に注文をしたり、タンク(レシーバー)をちょっと傾けたり、その他にも色々と注文しました。
マイケルのベルギー時代のお師匠さんのつながりで信頼できる業者に頼んだのですが、本当に細かい所まで対応してくれました。
組み立ては業者さんにお任せでという蒸溜所も多いと思いますが、私達はあえて自分達でやりました。
こだわりが凄いですね!
一般の方の中にも蒸溜所を見学したいと思われる方が沢山いると思いますが、一般公開の予定はあるのでしょうか?
蒸溜所ツアーも企画してます。
2階にはテイスティングルームもありますので、蒸溜器を眺めながらお酒を楽しんでもらえたらと思っています。
ボトルデザインのこだわり
ボトルの形も今まで見たことがない感じでかっこいいですよね。
どの様にしてこの形に決めたんですか?
これは、マイケルのお友達のノルウェー人の方にデザインしてもらいました。
アールデコのデザインの様でかっこいいでしょ。ラベルのデザインもその人が書いてくれたんですよ。
描かれている神様みたいな人も面白いですね。これはどういう意味を持っている絵なんでしょうか?
この絵もノルウェー人のお友達に書いてもらったんですよ。
この神様は「 鍾馗(しょうき)」という中国に伝わる神様で、悪い心(邪気)を追い払うというご利益があるんです。
蒸溜酒という意味の「スピリッツ」は「心」という意味でもあるので、2つの意味をかけてるんですよ。
面白いですね!踏まれている鬼は分かりますが、鍾馗が持っているカエルにはどの様な意味があるのでしょうか?
このカエルの意味はまだ公にはしなくて数年後に発表します。
ジンを飲んでくれる人一人一人が想像して色々なストーリーを考えて欲しいんです。ちなみにジンの名前の『TLピアス』も、「ピアス」はマイケルの名前から取ってますが、「TL」の意味はしばらく公表しません。それも含めて色々と想像してもらいながら、ジンを楽しんでもらえればと思っています。
使用されているボタニカルは9種類
では、『TLピアス・ジン』の味の特徴を教えてもらえますか?
ボタニカルは9種類使っています。
全部は秘密にしてますが明かせる範囲では、ジュニパーベリー、ローズマリー、ミカンの皮を使っています。
柑橘はオレンジピールを使うのが一般的ですが、風味が違うミカンの皮をあえて使ってます。
そしてやっぱり「Be Classic!!」ということで、ジン本来のドライな風味はきちんと出してます。
ジン自体が美味しいことはもちろんですが、ジントニックにしても美味しいし、カクテルにも幅広く使えるジンであるということを意識しています。
確かに普通のジンと違って、みかんの皮によって柑橘風味が柔らかいですよね。
ロンドン・ドライ・ジンの様なドライさもしっかりあるので「トーキョー・ドライ・ジン」という言葉を体現していると思います。本当においしくて素晴らしいジンですね!
(ロンドンドライジンの解説記事はこちら:London Dry Ginとは?
世界発!?樽生ジントニックが飲める日も!
今日はトニックウォーターを蒸溜しているんですが、一般販売用のトニックウォーターではなくて「樽生」で飲めるジントニック用です。
これは世界発の技術で、ビールサーバーからジントニックを注げるというものなんです。
ジンとトニックウォーターは出荷段階でミックスされていて、お店の人はただビールサーバーからジントニックを注ぐだけで楽という訳ですね。
世界初の技術!凄いですね!
わたしもビールが好きでよくタップルームに行くのですが、ビール以外のドリンクも気軽にオーダーできないかな~と常々思っていました。
これはとても嬉しい試みです。
タップルームだけではなく、レストランやカフェなどの食事をできる場所にもどんどん設置してもらいたいと思っています。
食事しながらジントニックを飲むということが、もっと日常的になって欲しいということで作りました。
素晴らしいです!ジントニックを飲めるレストランというのは、現状あまり多くないように思います。食中酒という観点からもジンの可能性は無限ですよね。この流れでどんどんジンを飲む人が増えていったら嬉しいですね!
ボブさんとマイケルさんにも会えるかも。発売直前のイベントは7/18から!
『TLピアス・ジン』の製作者によるこだわりのお話、いかがでしたでしょうか。
8月に販売が開始され、同時に公式ホームページも公開されます。
7/25日に発売が決定しました!(公式ホームページはこちら)
それに先駆けて7月18日~7月31日まで、渋谷ストリーム・カクウチベースにてポップアップイベントが開催されます。
ボブさんとマイケルさんもいらっしゃるということですので、お二人に会いたい方や『TLピアス・ジン』が気になる方など、ぜひ出掛けてみてはいかがでしょうか!
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オフィシャルサイト:https://kakuuchibasepopup.musashiya-net.co.jp/