熟成ジンとは

ジンは「ジュニパーベリーで風味付けをした蒸留酒(スピリッツ)」であり、ジンと一口に言っても、ジュニパーベリー以外の素材は自由であるという点や、製法についてもかなり自由度の高いお酒です。ジンのスタイルは作り手の狙いによって様々なものがありますが、中でも、ウイスキーなどの様に「」などに詰めて「熟成」をさせるジンも存在します。

ウイスキーであれば3年以上の熟成期間を設けることが一般的ですが、ジンは基本的には熟成をさせることはないので、主流のスタイルではないことは確かです。しかし、人気の蒸溜所が ”リミテッド・エディション” という形で熟成ジンを発売すればすぐさま売り切れたりと、なかなか底堅い人気があります。

今回の記事では、そんな「熟成ジン」についてご紹介をしていきます。

その他のジンについて詳しく知りたい方はこちら【主要なジン以外のタイプ

熟成ジンの歴史

現在では、ジンに香りと色、深い味わいやまろやかさなどを与えるために採用されているこの熟成工程。18-19世紀のヨーロッパではこの方法が広く採用されていましたが、現在とは対照的に、味に特徴を付ける目的でこの工程は使われていませんでした。

ではどの様な目的かと言うと「輸送」の為だったと言われています。当時は蒸留酒を輸送する際にはほとんどの場合「樽」に詰められて運ばれており、小売店に到着してからも樽のまま保管され、そこから直接小分けにして売られていました。樽に入れて保管すると程度の差はあれ、ジンが琥珀色や黄色がかった色に変色しますので、その頃の一般的なジンは現代のジンの様に無色透明ではなかったと言われています。

round photo frame lot on wall

転換点となったのが、1861年に施行された「The Single Bottle Act」と呼ばれるイギリスの法改正です。それによりお酒をボトルに詰めて販売しても良いということになり、樽を使用して輸送や保存をする必要が無くなりました。現在でも輸送から販売まで、ボトルに詰められるていることが一般的ですね。

時代が進んで2010年台。イギリスでは、クラフトジンのブームを作ったと言われるシップスミス蒸溜所の尽力により、小規模の蒸溜所でもジンの製造許可がおりるようになりました。そんなイギリスの状況をよそに、アメリカでは小規模の蒸溜所が多数設立されており、ジンに対しても自由に実験が繰り返されていました。様々な蒸溜所でウイスキーを製造する傍ら、樽を使用したジンの熟成も盛んになり、熟成ジンの市場はアメリカで急成長を遂げたと言われています。

現在では、熟成ジンはジンの主流のスタイルではないものの、多くの蒸溜所によって製造されており広く市民権を得ることとなりました。海外では「イエロージン」「マチュアド(熟成)ジン」「エイジドジン」などと呼ばれ、その特徴的な色や風味を楽しむジンファンも多くなりました。

熟成ジンの特徴

使われている樽の種類

barrels, kegs, casks

樽に使用されている木材はオーク材(アメリカン、スパニッシュ、フレンチなど)が一般的で、その中でも「Ex ~ カスク」と言う風に、ウイスキーなど他のお酒を熟成した樽を使用して、原酒の風味や成分を加えられたジンが多いです。下記はその様な原酒の一例です。

  • シェリー
  • ブランデー
  • バーボン
  • ワイン
  • ラム

熟成の期間

ウイスキーは3年の熟成期間が一般的ですが、ジンに同様の縛りはありません。3ヵ月~6ヵ月、長いもので1年程の期間が一般的ですね。熟成期間が最も長いジンと言われる「フィフティ・ポンド・ジン Cask at the Back」という銘柄がありますが、7年間もの長い間シェリー樽で熟成されており、この様なジンは本当に例外的な存在です。ウイスキーの世界では7年と言えばまだまだ若い部類に感じますが、ジンは数ヵ月ほどが一般的ですので、ウイスキーに比べると製造のサイクルはやはり早いですね。

gold and silver gift boxes on table

スピリッツの種類の中でも「ドライさ」と言われる形容詞がジンの最大の特徴の1つですが、樽熟成をさせることによって風味がまろやかになり口当たりが柔らかくなります。また、樽や原酒の成分が溶け出すことによってジンに深い味わいや奥行きも加えられます。

「ドライなジンが好き」という愛好者も多いので、あくまで個人的な好みで選ぶのが良いでしょう。

熟成ジンといっても、呼び方は様々

熟成ジンは各メーカーが熟成方法に様々な趣向を凝らすのはもちろんのこと、呼び方も多岐にわたります。そんな多様な呼び方の例を下記にご紹介しますが、紹介しきれていないような呼び方も沢山存在すると思われます。またそれぞれのジンの一例もご紹介していきますので、皆さんも熟成ジンに触れる機会がありましたら、「どの様に呼んでいるんだろう」と興味を持って楽しんでもらえれば幸いです。

barrels, wine barrels, old

Aged Gin:エイジド・ジン 

「Aged=年齢を重ねた」という意味なので、熟成と同義語ですね。

(例)コロンビアンエイジドジンオートドキシー 

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Cask (Aged)Gin:カスク・ジン

「Cask=樽」という意味なので、樽の中で熟成されたジンですね。

(例) ヘルノ ジュニパーカスク ジン / 季能美 カスクエイジド 京都ドライジン

Cask Strength Gin:カスク・ストレングス・ジン

通常は樽熟成させたジンに加水をしてアルコール度数を和らげますが、加水をせずにそのまま高い度数のままボトリングされたジンです。

(例)キングスバリー ビクトリアン バットジン シングルカスク(57.1度)

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Barrel Aged Gin: バレル・エイジド・ジン

「Cask」という呼び方が樽を包括した表現ですが、「Barrel=樽」はその中でもサイズの小さいものを指します。大きいサイズの樽よりもバレルサイズの方が熟成が進むスピードが早く、ジン熟成の場面ではこちらが使用されることが多いです。

(例)フィラーズ ジン バレル エイジド

Rested Gin:レステッド・ジン

「Rested=休ませた」という意味ですので、「熟成」と同義語ですね。

(例)ビーフィーター バローズリザーブ オーク レステッド ジン

Barrel Reserve Gin:バレル・リザーブ ・ジン

ワインの世界で頻繁に使われる「Reserve」は、熟成期間の長いワインに付けられる称号です。ジンにおいてこの呼び方がされる際には、熟成期間の長短に関する定義は無さそうです。

(例) ブルーコート バレル リザーブ アメリカン ドライ ジン(3か月間熟成)

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Reserve(フランス語):レゼルヴ、レゼルバ

フランスの熟成ジンはこの様な呼び方があったりします。

(例) シタデル ジン レゼルヴ / ノエゾン ジン レゼルバ

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現在でも成長中の熟成ジン市場

brown wooden barrels on wooden barrels

クラフトジンブームは現在も衰えることを知らず、世界各地で新設の蒸溜所が増えています。作り手の数だけジンの個性があり、樽熟成のジンを製造するメーカーも増えてきました。

まだまだ日本での認知度が低いこの熟成ジンというジャンル。深掘りしてみると相当面白いかもしれませんね!

参考

https://www.gintime.com/features/burroughs-reserve-the-quest-for-sipping-gin/