主要なジン以外のタイプ
ジンは蒸留酒として分類され、ウォッカ / テキーラ / ラムと並び4大スピリッツの1つです。
一般的な製法は、蒸留後のベーススピリッツに加水をして、スパイス / ハーブ / フルーツなど風味付けの素材であるボタニカルを加えて再蒸溜をします。最後に再度加水をしてアルコール濃度を調整した後に完成となります。
再蒸留前にボタニカルに漬け込んで風味を抽出する浸漬法(スティーピング法)を工程に組み入れるジンも多く存在します。
使用されているボタニカルとしてジュニパーベリーは必須ですが、その他はどの様な素材を使ってもいいというとても自由なお酒です。
では、そんな一般的なジンとは異なる製法の種類をご紹介します。以下は製法にそれぞれ明確な定義はございませんが、
「World Gin Awards」による分類によると以下の種類に分けられます。
Compound Gin (コンパウンド・ジン)
多くのジンはボタニカルを再蒸留して作られますが、このコンパウンド・ジンは、再蒸留をせずにボタニカルを漬け込む浸漬法のみで風味を抽出して作られます。
別名「Bathtub Gin(バスタブ・ジン)」とも呼ばれますが、
かつての19世紀のアメリカで禁酒法の時代に、自宅の浴槽でボタニカルを漬け込んで作られた密造酒がその由来となっています。
その時代のジンはとても粗悪なものでしたが、現在のコンパウンド・ジンはクオリティーが非常に高くなっており、代表格のブランドで当時の密造酒の名前をそのまま冠した『バスタブ・ジン』はとても高い評価を受けているジンですね。
Old Tom Gin(オールド・トム・ジン)
現在のジンは辛口(ドライ)に仕上げられるジンが多いのですが、それとは対照的に、砂糖や果物の甘味を添加して甘く作られるジンのことを指します。
その名前の由来の一説として、18世紀のイギリスの禁酒法時代に。
甘味があって飲みやすいので、ドライジンが苦手な方だったりジン初心者にとってもオススメできる種類です。
Matured Gin (熟成ジン)
製造後、樽などの中で熟成をさせたジンのことを指します。ウイスキーの世界では熟成期間を持たせることが必須であるのに対して、ジンは一般的に熟成をさせないまま出荷されます。
熟成期間によって色の濃度が変化しますが、淡い琥珀色が特徴的です。
カスクエディション、カスクエイジド、バレルエイジドなどブランドによって呼び方が多数ありますが、全て熟成させているジンのことを指します。
Navy Strength Gin (ネイビー・ストレングス・ジン)
アルコール度数57度以上で度数が高く設定されているジンのことを指します。
名前の由来として、18世紀のイギリス海軍は船に火薬とジンを共に格納していたため、船が揺れてジンが火薬にこぼれても火薬がしけらないくらいのアルコール度数が57度だったということから、そう呼ばれています。
しかし、54.5度以上でネイビーストレングスと呼ぶものもあります。
「オーバープルーフ」や「ガンパウダージン」と名付けられている銘柄もあります。
強いアルコール度数やボタニカルの風味が特徴です。
Flavoured Gin (フレイバードジン)
フルーツやその他の風味を主軸として作られるジンのことを指します。
例として、レモンジンやエルダーフラワージン、オリーブジンなども存在します。
主に2通りの製造法がありますが、主軸のボタニカルの風味を強く残るように蒸留するものと、通常通りに蒸留した後に主軸のボタニカルを漬け込むだけで蒸留をしないパターンのものがあります。
後者のジンは素材の色が残っていて透明ではないものも多く存在します。
Sloe Gin (スロージン)
ジンという名前が付きますが、リキュールに分類されるお酒の一種です。
ジュニパーベリーの代りに、すももの一種であるスローベリー(西洋すもも)をベーススピリッツに浸漬して作られます。
スローベリーは甘酸っぱい風味を持っており、氷を入れてロックスタイルで飲んだり、カクテルに入れて使われたり、またお菓子作りに使用されることもあります。
Jenever (ジュネヴァ)
穀物を蒸留したモルトワインをベースとして、そこにジュニパーベリーや他のボタニカルの蒸溜液を加えて作られた蒸留酒のことを指します。その起源は諸説ありますが、ジンの起源とも言われる、中世オランダにて薬効効果のある蒸留酒として作られたものが原型とされています。
AOC(原産地統制呼称制度)によって原産地が定められており、オランダとベルギー、そして、フランスとドイツの一部地域で生産されたもののみがジュネヴァと名乗ることができます。
ジンと比べて穀物由来の甘さを感じられる味わいを持ち、樽で熟成して作られていて、ウイスキーの様な豊潤な香りを感じることができる銘柄も多くあります。