カンボジア発  資源再生のスペシャリストがつくるジン!!  MAWSIM GIN (マウシムジン)

皆さん、「カンボジア」という国にどの様なイメージを持たれるでしょうか?

東南アジアにありアンコールワットなどの仏教遺跡で有名なことから、観光で行かれたことのある方もいるでしょう。

また別の側面として、熱帯東南アジアに位置することもあり「スパイス」「ハーブ」「フルーツ」といった食品の一大産地でもあるんです。それらはもちろんジンの「ボタニカル」に欠かせない要素ですよね。

そんなカンボジアから、南国の恵みがぎっしり詰まったジンが届きました。

そしてそのジンは、カンボジアで日本人によって作られているというから驚きじゃないですか!!『MAWSIM GIN (マウシムジン)』と名付けられたこのジンは、岐阜県に本社を置く株式会社サンウエスパ(以下:サンウエスパ)によってつくられています。

今回、新世代を創るクリエイションのイベント「NEW ENERGY」にサンウエスパさんが出展をされるということで、代表の原さんからマウシムジン についてお話を聞くことが出来ました。

現在地球が抱える環境問題への取り組みや、カンボジアという国の地域性を活かしたジンづくりに対する姿勢など、聞けば聞くほど感銘を受けるお話ばかりでした。

資源の再生事業からジンづくりへ

写真左  現地子会社COO・蒸溜責任者:津﨑健治さん、写真中央 CEO:原有匡さん、写真右 プロモーション担当:新井俊彦さん 
Gin Lab

こんにちは。本日はよろしくお願いします。マウシムジンについていろいろと教えてください。

原さん

本日はお越し頂いてありがとうございます。よろしくお願いします。

Gin Lab

最初にサンウエスパさんという会社の事業内容についてお聞きさせてください。もともと、サンウエスパさんはカンボジア関係の事業などされていたんでしょうか?

原さん

もともとは岐阜で古紙のリサイクル事業をしていまして、紙に含まれるセルロースを利用して古紙からエタノールを作ろうということもしています。

Gin Lab

紙からエタノール!お酒の原料にもなりそうですね。

原さん

紙から焼酎を造ろうということなんかも考えたんですが、なかなか日本は規制が厳しかったり、古紙から作るということに付加価値が付けづらいということもあり、そのような規制がないカンボジアに来てジンを作ろうということを決めたんです。
事業をグローバルに進めていることもあり、カンボジアにはビジネスの可能性があって以前にも何度か来ていたんですが、そこでホテイアオイという水草に出会ったんです。
ホテイアオイは南米原産の外来種で、7か月で200万倍に増えるんです。カンボジアだけではなく熱帯の水辺のエリアで大繁殖していて、どこにでも生い茂っているような水草なんです。とにかく増えていくので生物多様性なんかをどんどん破壊していったりもします。
そんな水草からバイオエタノールを作れたら面白いんじゃないかと思いまして、実証実験をずっとしてました。そして今年の6月についにプラントが完成したんです。

Gin Lab

凄いですね。水草からできるバイオエタノール、気になります!

原さん

エタノールはエネルギーとしてだけではなく、お酒として飲めるということがあり、エネルギーとして燃やすと1リッター100円なんですが、飲む場合には、アルコール度数を100℃として換算して1万円~2万円になるんですね。飲んでも燃やしてもカーボンニュートラルなので、それなら飲んで酔っぱらって楽しくなろうということで最高じゃないですか(笑)!

Gin Lab

確かにそうですね(笑)!素晴らしい試みだと思います!

原さん

実際には今のところ、ジンのベーススピリッツにこのバイオエタノールはまだ使ってないんです。今使っているのはニュートラルスピリッツなんですが、水草から取れるエタノールは実験段階で、それもだんだんとニュートラルに近づいてきました。
今年中に実装できるようにして、味に影響を与えないようにちょっとずつベーススピリッツに加えていって、最終的にはそのエタノールを使ってジンを作る予定です。

ジンのベーススピリッツについての解説記事はこちら:ジンのベーススピリッツとは?

熱帯アジアの風味が凝縮されたジン

カンボジア産のジンということで、気になるのはカンボジアという地域性がどのように関係しているかということですよね。なんと、MAWSIM GINに使用されているボタニカルは、ジュニパーベリー以外が全てカンボジア産であるというから驚きでした!

そのボタニカルや製法についてのこだわりもとても素敵なんです。

MAWSIM GIN SPICES & HERBS

マウシム ジン -スパイス & ハーブ-

ボタニカル

ジュニパーベリー、胡椒(生・乾燥)、カンボジアンカルダモン、コリアンダー、キナ、ガランガル、ジンジャー、カシューナッツ、レモングラス

生の胡椒によるフレッシュでピリッとした味わい。そして乾燥胡椒や生姜による、スパイシーな風味が特徴的なジンです。カンボジアンカルダモンの風味も力強く、ガランガル(東南アジアの生姜)やレモングラスによってオリエンタルな風味も添えられ、スパイシー系のジンの最高峰とあえて言いたいです。

MAWSIM GIN TROPICAL CITRUS

マウシム ジン -トロピカルシトラス-

ボタニカル

ジュニパーベリー、バッタンバンオレンジ、ライム、コブミカン、金柑、パッションフルーツ、マンゴー、パイナップル

カンボジアと言えば南国フルーツの宝庫。マンゴーやパッションフルーツ、パイナップルから抽出される天然のフルーツ由来の甘味を存分に味わえ、他の柑橘系のボタニカルと組み合わされることにより、スムースな口当たりで素晴らしいバランスを持つジンに仕上げられました。

バッタンバンオレンジはカンボジアのバッタンバン州特有のオレンジで、他のジンでは味わえないボタニカルです。口に含んだ瞬間に、南国のイメージが頭に浮かんでくるような素晴らしいジンです。

Gin Lab

カンボジア産のジンということで、ボタニカルはカンボジア産のものを使用しているのですか?

原さん

はい。ジュニパーベリー以外のボタニカルは全てカンボジア産です。
スパイスやハーブの原産地は95%が熱帯アジアなので、カンボジアで手に入れられないものはほぼないんです。そしてフルーツも豊富なので、見たこともない様なフルーツも沢山入手できるんです!

Gin Lab

おおー!!それは地域性があって素晴らしいですね!

原さん

そして通常、ジンはヨーロッパなどもっと寒い地域で作られているのが普通だと思いますが、そのような地域ではボタニカルは原産地のものをそのまま使う訳ではなく乾燥したものを使用しているんですね。
確かに水や温度管理という面からみたらヨーロッパは有利かもしれませんが、僕たちはフレッシュなボタニカルを使いたかったので、カンボジアがうってつけだったんです。

Gin Lab

なるほど!熱帯アジア産のジンというのは今まではあまりなかったと思いますが、それを聞くと納得ですね。

原さん

スパイスのカルダモンなんかもカンボジアンカルダモンという種類のものを使っていますが、カルダモン山地という地域があるくらいで、他のボタニカルにしてもフレッシュなものが入手しやすいんです。

Gin Lab

確かにいろいろなジンと比べて、ボタニカルの香味成分がより新鮮な印象を受けました。フレッシュだとこうまでも違うんですね!
ボタニカルをどのように選定したかという経緯や、製法についても教えて頂けますか。

原さん

プロジェクト自体が始まったのは結構前でしたが、現地子会社の運営責任者の津﨑に、ボタニカルの選定から製法までいろいろと実験してもらいました。
200種類のボタニカルから現在のジンに使われている種類まで絞って、分量もグラム単位で変えて実験しました。香りが立つように、現地のスタッフ達に大きいすり鉢のようなもので砕いてもらったりもしてます。
ボタニカル選定をクリアした後は、ボタニカル漬け込みの時間、蒸留の時間、カットまで様々な実験をしてきて、2年の間レシピ開発を続けていました。

Gin Lab

構想から完成まで長い年月をかけられた、こだわりのジンということですね!素晴らしいです!

デザイン性のみならず、環境にも配慮したケルデル瓶

Gin Lab

ボトルも素敵ですよね。ボトルのデザインにもこだわりがあったりしますか?

原さん

ボトルはケルデル瓶というものを使っています。
アンティークのジンボトルをリビルトしたものでして、一番こだわっている点として、東京の下町で半分人工で作っていて、ゆらぎや気泡などをそのまま残してます。一つも同じものはできないということですね。
大航海時代に長崎に来たオランダ人が飲んだジンボトルを海中投棄していたんです。それを日本人が潜って拾って来て、茶人が花生けとして使っていたということにインスピレーションを受けてこの様なボトルにしました。

Gin Lab

確かに。花瓶にしてもとても素敵そうな印象を受けました!

原さん

飲み終わった後に廃棄してリサイクルというわけではなく、花瓶やインテリアなどに利用してもらえれば、リサイクルのための輸送のCO2を排出することもなく、環境にも配慮できるということも考えてます。
そしてケルデル瓶は、オランダ語ではケースボトルという意味なんですね。四角い垂直面ということによって隙間なくぎっしり詰めることが出来るので、緩衝材を使うことがなく輸送効率が良いということもあるんです。箱にもすっぽり収まりプラスチックの緩衝材もいらないので、環境にも配慮できるということになります。

Gin Lab

なるほど!最終的に消費者がボトルを廃棄するということではなく、消費者個人にとっても再利用のサイクルを回していけるということも素晴らしい試みだと思います!

プノンペンにある蒸留所と併設のバーも素敵すぎる

カンボジアの首都プノンペンに蒸留所が位置しており、夜になるとテイスティングバーとしてオープンします。

テーブルやドア、床板なども、役目を終えて打ち捨てられた素材を再利用して作られています。ここにもリサイクル企業としての誇りがありますね。

Gin Lab

蒸留器はどのようなものを使用されているのですか?

原さん

「ジン発祥の国オランダで造られているハイテクな蒸留器 = iStill社製」の蒸留器を使用してジンを製造しています。
レシピごとに、蒸留時間やの配分設定をメモリできるのがとても便利です。僕たちのジンは、フレッシュなボタニカルを使用しているので、バッチごとに微妙な調整が必要ではありますが、この機能があることで効率性が向上しています。少数精鋭で、手作業で行うボタニカルの前処理に膨大な時間を割いている我々にとっては、重要な機能です。
大航海時代(Age of Discovery)のカウンターカルチャー(Age of Rediscovery)を標榜するというコンセプトから、現代の最先端の技術を詰め込んだ蒸留器を使用しています。

Gin Lab

なるほど!ブランドコンセプトも素晴らしいので、その様な最先端な蒸留器はうってつけですね!
蒸留所と併設バーともに、カンボジアに行く際にはぜひお邪魔したい素敵な空間ですね!

最後に 

カンボジアで作られたジンということで、イメージを掴んで頂けましたでしょうか。

バイオエタノールの製造から始まり、現地のボタニカルを使用したりスタッフを雇用することによって地域の活性化につながる活動。そしてボトルデザインに込められた想いまで。

まさに現在世界の潮流となっている、持続可能な社会の実現を体現しようとしているジンではないでしょうか!

もちろんジンの味も素晴らしく、他のジンでは味わえないような、フレッシュで瑞々しいボタニカルの風味を感じられるジンとして自信を持ってオススメしたい逸品です!!

気になった方はぜひ下記の公式サイトをチェックしてみて下さい。ボタニカルに使用されているカンボジア産の胡椒も販売されています。

ジンも現在オンラインショップを中心とする販売となっていますので、この機会に、カンボジアの風味がギッシリ詰まったジンを体験してみてはいかがでしょうか!

写真提供:サンウエスパ