『GEEKSTILL(マニアックな蒸留所)』でつくられるジン  AMRTA GIN(アムリタジン)のご紹介

富士山のふもとに位置し、四方を山に囲まれ自然の恵みが豊かな山梨県。

「フルーツ王国」とも呼ばれ、山梨県でつくられるフルーツは美味しいものばかりということは皆さんも同意してもらえると思います。葡萄の一大産地でもあり、そこで採れた葡萄からつくられるジャパニーズワインも有名ですね。

そんな山梨県において、自然の恵みがたっぷり詰まったクラフトジンが作られています。そのジンは『AMRTA GIN=アムリタジン』と名付けられ、近年注目を集めているボトルの1つとなっています。

「アムリタ」という言葉は、サンスクリット語で不老不死、万能薬、霊薬、ソーマ、甘露、エリクサー、賢者の石などを意味し、コロナ禍においての万能薬として広く楽しんでもらいたいという想いからつくられることとなりました。

アムリタジンは、一風変わった名前の蒸留所「GEEKSTILL」でつくられています。GEEK (ギーク) = オタクな、マニアックなという意味を持ち、まさにつくり手のマニアックさから産み出されているというジンということは間違いがありません。蒸留所の外観にしてもとても個性的で、蒸留所という枠には収まりきらないカッコよさがあります。

名前もデザインも全てが神秘的に感じられるアムリタジン。代表であり実際にお酒をつくられている蒸留士でもある岸川さんから、その魅力についてお話を聞いてきました。

ジンづくりをはじめたきっかけ

Gin Lab

こんにちは。今日は色々とお話を聞かせてください。

岸川さん

こんにちは。

Gin Lab

まず、岸川さんの略歴をお聞かせいただけますか。

岸川さん

僕の前歴というか、今も並行してやっているんですけど、ブドウの苗木の生産をやってて、全国のワイナリーさんにお届けに行ったりしています。そこで土壌を見たりどんな苗木が合うのかとか、コンサルの様なこともしています。

Gin Lab

もともとはワイン関係のお仕事から始まっていたということですね。
ブドウの花を使っているジンもありますし、ワイン業界を経てきたというのも納得です。

岸川さん

そうですね。そういう風にして全国のワイナリーさんと懇意にしてもらってるんですが、「岸川さんは自分でお酒を作らないんですか?」というような事を聞かれるのが多くて。それはそうだなという感じで、何かお酒を作りたいとは思ってました。

Gin Lab

なるほど。では数あるお酒の中からなぜジンにしようと思ったんですか?

岸川さん

僕自身、子供の頃から山梨で育っていて、山梨でなにかやろうとした時に山梨のワインの業界はすでに大きかったということもあって、参入のしやすいお酒は何かと考えた時に「ジン」を思いつきました。
野山に分け入って植物に触れてきたのでボタニカルの特性も分かっているし、季節の香りも熟知しているしということで、これはジンだなと思いました。香りを感じる嗅覚というのが自分の特性だと思っていて、それも活かせるだろうなとも思いました。

Gin Lab

子供の頃から好きなことが一貫しているという訳ですね!ワイン業界も経てきたということもあり、ジンづくりはまさにうってつけだと思います。

山梨の恵みがたっぷり!!  ボタニカルは手摘み

Gin Lab

アムリタジンといえば、ブドウの花を使った『AMRTA 1-3』がシグネイチャーボトルだと思いますが、ブドウの花を含めてボタニカルはどのように決められているのですか?

岸川さん

ボタニカルに関しては僕が野山のものが好きだということもあり、ほとんど自分で採取してきたものです。季節によってその季節に合わせたボタニカルだったり、他にも、ご縁があって周りの皆さんから入手ができたボタニカルだったりというものを使っています。

Gin Lab

自分で手摘みというのは凄いですね!植物や地域の植物を熟知していなければできないことですね。ボタニカルの多くが山梨県産ということなんですね。

岸川さん

ジュニパーベリーはどうしても山梨でとれたということは出来ないんですが、知り合いの地場の業者さんから入手したりしたものも多くは山梨県産ですね。

Gin Lab

山梨と言えばフルーツ王国ですので、地域性を活かした素晴らしいジンだと思います!
ちなみに、『AMRTA 1-3』に使用されているブドウの花は、咲いている期間がすごく短く貴重なものだということを聞いたことがあるのですが、いつ頃咲くのでしょうか?

岸川さん

花が咲いている時期というのは短くて、毎年5月後半の1週間~2週間の間に人を集めてワーって獲ってしまいます。もし手伝ってくれる人がいたら大歓迎ですので、ぜひ採りに来てもらえると助かります。

Gin Lab

ボタニカル採取体験ということですね。楽しそうですね!ぜひ来年は手伝いにいかせてもらいます。

繊細な風味を活かす  減圧蒸留器が特徴的

Gin Lab

使用されている蒸留器は、見た感じ減圧蒸留器でしょうか?

岸川さん

常圧蒸留と減圧蒸留を両方できます。ワイン系の業界にいたこともあって、器材の調達もやっぱりそちらのルートからなんです。
海外で作られているような銅製のポットスチル(単式蒸留器)なんかにも憧れがあったんですが、器材のメンテナンスやトラブル対応などの保守の面から考えると国産のものがいいかなと思ったので、僕の入手ルートの中に有ったものに決めました。

Gin Lab

メンテナンスを考えると確かに国産が良いというのは頷けますね。
減圧蒸留を使えるということは、普通のボタニカルは常圧蒸留、繊細なボタニカルは減圧蒸留といった風に使い分けているんですか?

岸川さん

はい、ボタニカルごとに使い分けてます。
そもそもボタニカルは全部一緒に蒸留しないで、一種類ごとに蒸留してあとでブレンドして完成という形にしています。

Gin Lab

それは素晴らしいですね。それぞれのボタニカルの特性を最大限に活かせる方法だと思います!

岸川さん

めっちゃ手間と時間がかかりますけどね(笑)

Gin Lab

確かに…何回も蒸留をこなさなければならなさそうですよね(笑)ボタニカルの採取から蒸留まで本当に手間をかけているんだな〜と感動します。

ベースとなるスピリッツは日本酒由来

Gin Lab

ジンの元となるアルコールのベーススピリッツは日本酒なんですよね。
原料として日本酒を使用しているジンはそれほど多くないと思いますが、どのような考えで日本酒に決めたのですか?

岸川さん

蒸留器の件と繋がってくるんですが、この蒸留器のメーカーである横山エンジニアリングさんと話していた時に、やっぱり動いている所がみたいと言いました。そうしたら、とある日本酒と焼酎のメーカーさんの所まで見に行くことになったんです。
そこでたまたま焼酎造りの現場にいたのが、ワインの業界の時のちょっとした知り合いだったので、ダメ元でジンの原料として原酒を提供してくれないかと頼んでみたんです。最初は「それは無理でしょー」という話だったんですが、そこの社長さんが先進的な考えの方で、なんと原酒の提供をしてくれる流れになってしまいました。

Gin Lab

それは凄いですね!完璧に日本酒がベースということですね。原料アルコールが日本酒ベースというのは相当贅沢だと思います!

岸川さん

原料として発注する為に一度蒸留をしてもらっていますが、本当に日本酒がベースとなっています。お米からできたライススピリッツという訳です。
届いた時は、お米由来の日本酒の良い香りが充満していて驚きました。蒸留してみてもう一つ驚いたんですが、ベーススピリッツが他の素材の邪魔もしないし、ボタニカルの香りも立たせるしということで、お米の万能性というか何にでも合うんだなーということに驚きました。

Gin Lab

なるほど。アムリタジンは上品な甘味が特徴的だと思っていますが、お米由来の自然な甘味が活きているんですね。
日本酒メーカーさんがジンをつくる場合以外で日本酒ベースというジンはイメージがわかなかったので謎が解けました。素晴らしいご縁がきっかけだったんですね!

ベーススピリッツについての解説記事はこちら→ジンの「ベーススピリッツ」とは

品名は番号のみ?

Gin Lab

アムリタジンの個性的な点として『AMRTA 1-3』のように、番号が品名になってますよね。その意味について教えてください。

岸川さん

ボタニカルのひとひとつに番号をふってあります。ジュニパーベリーは「1」でブドウの花は「3」ということになっているような感じです。ナンバリングすることによって消費者の皆さんに番号違いのボトルを収集してもらえればと思っています。
自分自身の琴線に触れるものを作っていきたいということが土台にあるんですが、僕自身が収集癖があり、自分自身がまず欲しくなるような製品をつくりたいと思ってナンバリングということにしました。

Gin Lab

なるほど。それは確かに番号違いが気になって集めたくなりますね。
それとは別に、甘夏がボタニカルとして使われている『LIMITED.03』のように、「LIMITED(リミテッド)」というバージョンもあると思いますが、それとの差はどのようなものなんでしょうか?

岸川さん

ボタニカルの入手経路やボタニカルそのものにドラマがあるような場合、感謝の気持ちを込めてリミテッドということにしています。

Gin Lab

特別編ということなんですね。では、これからは二度と同じものは作られないということになるんですか?

岸川さん

リミテッドに関しては本当に一度きりですね。一期一会のボトルということになります。

Gin Lab

リミテッドに関してはラベルの色も違うし、それもあわせて収集癖をくすぐりますね。

岸川さん

そうなんです。一回売り切りなので、問い合わせが結構来るんですよ。でももうつくらないのですいませんという感じで答えてます。

Gin Lab

では、通常ラベルの番号がふってあるボトルは、これから再度つくる可能性があるんでしょうか?

岸川さん

いえ。あれも一度で終わりです(笑)。レギュラーの『1-3』は一年に一回つくりますが、他はもう一期一会ということで。

Gin Lab

ではもう『1-3』以外が全て限定品ということですね(笑)。そう聞くと全て欲しくなってしまいますね(笑)

独自の世界観でつくられるアートワーク

Gin Lab

ボトルやラベルデザインもとても綺麗ですよね。ご自身でアートワークを考えられていると聞きましたが、どのようなテーマがあるのでしょうか?

岸川さん

ボトルに関しては、僕が昭和のノスタルジックというか昭和の時代がすごく好きで、あの頃の記憶がビビッドに蘇ってくるということがあります。水色のボトルにしているんですが、昭和の時代といったらああいう色付きのガラスがあって、昭和の薬瓶という感じのイメージですね。

Gin Lab

わかります。確かにノスタルジックな感覚は受けますね。
ラベルのデザインもとてもカッコいいと思います。岸川さんご自身でデザインされたんですか?

岸川さん

そうですね。シンプルなデザインのラベルも考えたんですが、ジンを発売しようとしてた頃に出ていた、日本の他のジンのラベルが割とシンプルなデザインのラベルのものが多くて。
逆に、古臭い昭和の薬のデザインのような方に寄せていったら良いんじゃないかと思ってこんな感じにしました。

Gin Lab

昔の薬の感じ。確かに言われてみるとそうですね。
そうすると『アムリタ』という言葉も関係してきそうですね。

岸川さん

「アムリタ」はサンスクリット語で「万能薬」や「不死の薬」という意味なんです。おこがましい考えなんですが、ちょうどコロナ禍で社会に閉塞感があって、みんなが楽しめて薬になるようなものがつくれればと思って『アムリタ』という名前を付けました。

Gin Lab

それは素晴らしいと思います!ジンを飲んでみんなハッピーになれば良いですよね!

最後に

神秘的な雰囲気を持つ『AMRTA GIN』。わたしたちGin Lab編集部も大好きなジンですが、お話を聞くことによって色々な謎が解けました。

閉塞感のある現代において「万能薬」をつくろうという想いから生まれ、山梨育ちで素材の活かし方を知り尽くしている岸川さんによって丹精を込めて作られたジン。そして、繋がりがある様々な方とのご縁があってこのジンが出来上がったのも感慨深いものがあります。

フルーツ王国であり日本ワインの一大産地でもある山梨県。その地域性を存分に活かしたジンをぜひ味わってみてはいかがでしょうか!

気になった方はGEEKSTILL公式サイトをチェック!

リカーズハセガワ北口店(ガソスタハセガワ)さんの品ぞろえも凄い!