海外で話題のジャパニーズジン!? 『東経135度兵庫ドライジン(135° East Hyogo Dry Gin)』のご紹介

兵庫県・明石市。明石海峡を望む絶景の景色が素晴らしく、日本の標準時間となる東経135度の「子午線」上にある町。

その明石市の本州と淡路島を結ぶ明石海峡大橋からほど近い場所、海岸から一本隔てた道路を進んでいくとガラス張りの美しい建物が現れます。

そこには蒸溜器の姿が見え蒸溜所ということはわかりますが、以前までは情報は明らかにされておらず長らく秘密の場所として存在していました。

その蒸溜所は『海峡蒸溜所』という名前で、ウイスキーやジンも製造しており、その規模の大きさにも関わらず知る人ぞ知る蒸溜所でしたが、2022年、ついに情報が拡散されてからは多くの人の目に留まるようになりました。

日本では流通していなかった?!ジャパニーズジン

画像提供:海峡蒸溜所

その蒸留所でつくられるジンは『東経135度兵庫ドライジン』と名付けられ、2020年から製造されていましたが、日本では長らく秘密のジンとして存在してきました。

実はこのジンは日本でつくられているジャパニーズジンにも関わらず「海外流通」に特化したジンで、2020年のリリース以来、輸出されて海外で販売するという販路のみで流通していたのです。

そして海外に遅れること1年以上、ここ日本でも2021年11月から発売が始まりました。

このジンをつくる海峡蒸溜所は、清酒『明石鯛』を造る老舗の清酒メーカー「明石酒類醸造株式会社」の蒸留酒製造部門であり、同じく海外流通に特化したウイスキー『波門崎ウイスキー』のメーカーでもあります。

日本酒、ウイスキーやジンなど、国外での流通量が多く、海外の様々な国で人気のある銘柄ばかりですが、その事業の秘密を代表取締役社長・米澤仁雄さんにお話を伺ってきました。

写真:米澤仁雄さん

面白い関西の気さくな社長さんという風情の方で、楽しくお話を聞かせてくださいました。今回、話を聞いたジンラボインタビュアーも関西出身ですので、全編関西弁のイントネーションのイメージでお読みください!

コロナを乗り越えて蒸溜所がオープン

ビジターセンターの様子
Gin Lab

今回は宜しくお願いします。
明石という場所も景色がいいし、蒸溜所もビジターセンターもめっちゃ素敵ですね。

米澤さん

このビジターセンターは2019年に建物自体は建てたんですけど、コロナが来てしもて。2022年になってようやくコロナも落ち着いて来たし、もういいよねってことで内装も始めて、ようやく開けることができたということですね。
2016年11月に最初のウイスキーのポットスチルがきて、稼働も2017年から始まって、色んな器材をスコットランドから持ってきて2020年がオープン予定やったんやけど、あと麦汁をつくる器械のセットアップだけの時にコロナが始まって国が閉まってしまって。

Gin Lab

そういう訳で謎の存在だったんですね。

米澤さん

ウチはプレスリリースもせえへんし、新聞記者なんかも来てたんですが、記事を出させてなくて、コロナも落ち着いてきてようやく開けようか思うて、今は蔵や蒸留所の見学なんかもしています。

『東経135度兵庫ドライジン』『波門崎ウイスキー』が産まれるまで

ウイスキー造りのポットスチル
Gin Lab

醸造酒、蒸留酒に限らず色んなお酒を作られてますが、どんな風にお酒造りをスタートされたんですか?

米澤さん

ウチは最初は原料アルコール。連続式焼酎、原料アルコールをやってたんですけど、日本酒はその後なんですよ。ウチの会社は創業100年で蒸溜所やったけど、日本酒の免許をもってからは60年。スーパーで売ってるような大っきいペットボトルの焼酎つくってたけどそういうのを止めて、日本酒造りに特化した訳ですね。

清酒『明石鯛』
Gin Lab

色々つくってはったんですね。
そこからジンやウイスキー造りはどんな風にスタートしたんですか?

米澤さん

スタートは焼酎で、色んな焼酎を作ってました。淡路島の玉ねぎの焼酎とか、青森県の農協さんと一緒に、にんにくとか長芋とか、色んな焼酎を作ってました。地産地消みたいなのを皆つくりたい時代があって、地元の蔵元に作ってほしいということになるけどなかなか難しいもんで、そういう時につくりましょうかという感じでやっていたんですね。
野菜からどうやったら焼酎つくれるかいうことをずっと見てて、その時はノウハウはなかったけど、ウイスキー以上にジンやれるんやないかなーということになって。

Gin Lab

そこからジンにいったと言う訳ですね。

米澤さん

いざジンをやろうかという段になったら「ジンづくりはアカン」言われたんですわ。

Gin Lab

(笑)。誰に言われたんですか?

米澤さん

向こうのイギリスの人ですね。そん時は2017年であっちでもジンがブームになってて、「もうイギリスだけでも1000件くらいクラフトジンのメーカーあんねん。いまからやってもどうにもならんわ。」て言われてね。
ほんならもう止めとくわと思っとったんですが、その時にちょうど「季の美ジン」が出て「六ジン」が出て人気になっていて。そしたら向こうの人らも途端に「日本のジンいけるんちゃうん?」みたいになってもうて「それやったら日本でジンやるわ」って、そんな感じでスタートしました。

Gin Lab

コロッと変わりはったんですね(笑)。もともとそのイギリスの方とはお知り合いやったんですか?

米澤さん

2005年から輸出をトライしようとしていて。最初に一緒にやってくれる言う人がイギリス人と日本人ということで、最初にイギリスとゆかりがあって、2007年くらいに初めてイギリスに輸出ができるようになりました。
そっから現地で色々と相手もちょっと変わってきて、だんだん売れるようになってきて。でも、そしたらそこが倒産したりとか。そして次の会社が出てきて、そこと長くできるようになってきました。
やけど、円高やなんやで日本のウチの会社の経営も徐々に厳しくなってきて、もうやめようか言う時に、向こうが「お前の会社に出資しようと思うてた」言うてきて。ウチは色んな技術をもっていて、酒も焼酎も全部やっていたからウイスキーもできると思ったんやろね。

Gin Lab

すごい話ですね(笑)。結構色々あったけど、うまくいったんですね。

米澤さん

その時の社長をしていた人間も、家族代々蒸溜所をやっていたような人間で、彼と一緒にウイスキーをやるということになりました。
ジンのときは違う人間がおって、その人は今は違う蒸溜所にいるけれど、その人に色々教えてもらってました。そして、イギリスの色んなバーの人がいっぱいアドバイスをくれて、組み立てていきました。

製造方法と素材へのこだわり

単式蒸留器がかっこいい!

米澤さん

これがジンを蒸留している蒸留器です。

Gin Lab

おおー、かっこいい!
おっきい蒸留器ですね。これで何リッター取れるんですか?

米澤さん

1000リッター入るようになってます。そこから蒸留すると3分の1くらいに減るので、最終的に300リッターくらい取れるようなイメージでやってますね。
ジンもそれなりに生産量が増えて、小っちゃいバッチでは回すのでは追いつかないということでね、これも新しいやつに入れ替えたばっかりで。

Gin Lab

サイズアップした言うことですね。ちなみにこれ減圧蒸留器ですか?

米澤さん

減圧蒸留器ですね。常圧でも蒸留できるし、減圧にすると40度くらいの温度で沸騰させて風味も取れるしで。ボタニカルによって使い分けてます。
海外のボタニカルは常圧だけど、日本のボタニカルは基本減圧でやってます。常圧だと味わいとか面白味があるんだけど、味が喧嘩してしまう。ボタニカルごとに常圧と減圧で試験はしてみて、色々と試すと日本のボタニカルに関しては減圧で出てくる風味が好きやということで。ただ答えはないので、色々試していってます。

Gin Lab

めっちゃこだわってますね。
蒸留の前にボタニカルの漬け込みとかされてはるんですか?

米澤さん

漬け込みしてます。ボタニカルによって時間が短いものもあれば長いものもあるということで、それぞれのタンクに入れてやっています。

Gin Lab

ボタニカルごとに蒸留も分けてやられてるんですか?

米澤さん

そう。ボタニカルごとに設定がちがうので一個一個回数こなしていって、最後にブレンドするという方法で。例えば、実験してなんかうまくいかんなと思ったときに、一つ一つに分けてれば原因が分かり易いから。それぞれのボタニカルの個性を感じられるようにレシピを作れとウチの師匠さんに言われてね。

Gin Lab

蒸溜器をめっちゃ回すんですね。手間かかってますね!

減圧蒸留についての解説記事はこちら→減圧蒸留とは?

生産者の想いが詰まった兵庫県産のボタニカル

画像提供:海峡蒸溜所

東経135度兵庫ドライジンには、ジンに使われる基本のボタニカルであるジュニパーベリー、コリアンダー、アンジェリカルートに加え、兵庫県産のボタニカル、紫蘇、柚子、煎茶、山椒と和歌山県産の梅が使用されています。

最後に蒸留した純米酒=酒スピリッツを加えて完成したジンは、ロンドンドライジンの哲学と和の風味が融合した素晴らしい味に仕上げられてます。

Gin Lab

ボタニカルは日本のものを多く使ってますが、どんな風に決まっていったんですか?

米澤さん

ウチはイギリスとかスコットランドの海外のお客さんが多い言うことで、基本的にロンドンドライジンをベンチマークにしていて、ここは動かさない。そこに日本のボタニカルを使って日本を主張する、ということにしてます。

Gin Lab

レシピも海外で考えはったんですか?

米澤さん

いろんなレシピを作って試してみて、テイスティングも向こうでバーテンダーやら色んな人にやってもらって。それこそ50種類くらいの日本のボタニカルを持って行って、20人くらいでみんなでブラインドで〇✕を付けてってもらってその中から選んでいくみたいな流れでした。
色々試してもらって大体10種類。そこからバランスとか地域性とか考えて削っていく訳で。あんまり少なすぎるのも多すぎるのも難しい言うことで、最後5つくらいがええんちゃう?言うて、日本のボタニカルは最終的に5種類にしました。
イメージとしては、最初にゆずの香りが立って次に山椒が舌にバーンときて、言う風な順番で感じられる、と言うことを想定しながらつくっています。

Gin Lab

日本のボタニカルが立ちながら、それでいてロンドンドライジンということですね。

米澤さん

そう。だけど向こうの人からするとちょっとだけ違う。日本を感じられるけど、全く向こうのと違ったら、そらジンと違うってなるので、ロンドンドライジンをベースにしながら、いつものとはちょい違うという位に感じられるようにつくってます。

Gin Lab

酒スピリッツも入れてるってなってるんですが、米を蒸留したものを入れてるんですか?

米澤さん

そう、これは隠し味。ちょっと入れるだけで角が取れてまろやかになる。
ウチでは日本酒も作っているから、そういうのもちょっとだけ活かしたい言うのがあって入れてます。

Gin Lab

なるほど!
日本のボタニカルに関しては、全て兵庫県のものなんですか。

米澤さん

梅だけちゃうねん。梅は残念なことに兵庫県のものではない。それ以外の日本のボタニカルは兵庫県のもので、山椒にしても柚子にしてもみんな農家のおっちゃん達の思い入れがあって素材を作っている言うことですね。

Gin Lab

地元を大事にしてはるという感じでめっちゃ素敵ですね!

名前とデザインの由来

Gin Lab

東経135度兵庫ドライジンという名前はどのように名付けられたんですか?

米澤さん

明石にちなんだということで、日本の子午線の東経135度を名前にしたということですね。

Gin Lab

その土地にちなんだ感じで分かりやすいですね。
ラベルもレトロな日本風でええ感じですね。これはどのようにデザインされたんですか?

米澤さん

イギリスのロンドンドライをベースにある中で、その中で日本のボタニカルを使うというコンセプトがあったということで、西洋文化が日本に入ってきた言うのが大正時代やん、言う話で大正時代をキーワードにしました。
ラベルも、博物館やなんかから昔の切手の資料を集めてイギリスのデザイナーに書いてもらってます。

Gin Lab

すごい。日本風なのにイギリスの方が書かれてるんですね。
これは海外の人にめっちゃ海外の人にうけそうなデザインですね!

海外流通に特化したジン

Gin Lab

今は何か国ぐらいに輸出されてるんですか?

米澤さん

もう世界中色んなとこに出してます。ジンだけではなく、ウイスキーや他のお酒もかなり出してます。今で30くらい。ヨーロッパの国にはほとんど出してる感じ。
イギリスのちょっと高級なスーパー120店舗で売ってもらってたり、オーストラリアも大きめの酒屋さんで扱ってもらってたり、アメリカにも出したりしてますね。シンガポールのジン專門のおっきいバーでイベントをやったりもしました。

Gin Lab

海外のジン好きの人のインスタグラム見てると、良く見かけますもんね。海外で売れているのはめっちゃすごいと思います。
そこから日本で発売するきっかけはなんだったんですか?

米澤さん

皆に「なんで日本で売らへんの?」言われて。正味な話、ウイスキーにしてもジンにしても海外で売れるんで、日本で売る量がなかったっちゅう話で。海外で売る場合、ずっと棚が埋まってないとっていうがあって欠品がアカンのですね。

Gin Lab

そうなんですね。
今は国内と海外でどの位の割合で売ってるんですか?

米澤さん

日本は5%くらい。それ以外は海外に出してます。ジンもどんどん日本で売ってください言われてるので、とにかく数をつくろうと思うてる。
最初はジンを少ない人数でつくってたけど、つくる人間も増えて、蒸留器も新しいのに変えて、どんどんつくっていこうかなと。今ではジンもウイスキーもどんどんつくってます。

Gin Lab

これからどんどん増産されていくんですね。日本でもめっちゃ売ってってください!

最後に

写真:明石海峡大橋

東経135度の子午線のまち・明石市でつくられる『東経135度兵庫ドライジン』のご紹介、いかがでしたでしょうか。

ジンの本場イギリスの蒸溜家の指導のもとに、日本のボタニカルの風味を感じさせるロンドンドライジン。そのまま飲んでも美味しく、ジントニックやカクテルにしても美味しさが引き立ちます。

これだけのこだわりが詰まっているにも関わらず、2000円代で購入できるというのもとても嬉しいですね。

気になった方は、下記公式ホームページからチェックしてぜひ購入してみてください!

そして、ジン好きのみならず日本酒やウイスキー造りの様子を見学できるツアーも開催しています。興味のある方はぜひ参加を!

海峡蒸溜所公式ホームページ:東経135度兵庫ドライジン

明石酒類醸造株式会社公式ホームページ:見学ツアー

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海峡蒸溜所

〒673-0871 兵庫県明石市大蔵八幡町1−6