クラフトジン甲子園が吉祥寺・The Wigtownで開催中 球児たちの夏はまだ終わっていない!

現在、日本では各地にクラフトジンの蒸留所が設立され、毎月のように新しいジャパニーズジンがリリースされています。その勢いはとどまることを知らず、まだクラフトジンが発売されてない都道府県は片手で数えられるくらいまでとなっています。

そんなジャパニーズジンを取り巻く状況が右肩上がりで盛り上がって来ている中、面白いイベントを開催しているのが東京・吉祥寺にあるスコティッシュ・パブ『The Wigtown(ザ・ウィグタウン)』さんです。

そのイベント「クラフトジン甲子園」は、日本の夏の風物詩=甲子園と同じく夏の期間中に開かれ、各地のクラフトジンを高校球児に見立て、お客さん参加型でジャパニーズクラフトジンの頂点を決めるという手に汗を握る闘いです。

今回の記事では、The Wigtownのオーナーである山﨑研人(やまざきけんと)さんにお話を伺ってきました。柔らかく独特な話し方と、独自の視点から語られるお話には引き込まれる世界感があります。

お店の紹介から始まりクラフトジン甲子園について、楽しくお話を聞かせて頂きました。

『The Wigtown(ザ・ウィグタウン)』ご紹介

Gin Lab

本日は宜しくお願いします。
では、ウィグタウンさんのお店のご紹介をお願いできますか。

山崎さん

はい。どうぞ宜しくお願いします。
お店はスコティッシュ・パブということになりまして、ビールとウイスキーとジンを中心にサイダーなども楽しめます。
基本的にはUKのものを扱っておりまして、ジャパンやアイルランドのものなどもあります。パブスタイルですから、フィッシュ&チップスを始めとしたパブフードも美味しく召し上がれますよ、という風なお店です。

Gin Lab

ジンもウイスキーも品揃えが素晴らしいですよね。何種類くらいのボトルが飲めるのですか?

山崎さん

ジンは30-40種類といったところでしょうか。固定で置いている銘柄が半分、あとの半分は無くなったら入れ替えながら回しているということですね。
ウイスキーはUK、UKの中でもスコットランドのものが多く、200本ほどの本数があります

お店をオープンするまで スコットランドの旅〜アイルランドでの生活を経て

Gin Lab

以前アイルランドで修行されて来られたということをお聞きました。そこから日本に戻ってきてお店を開くまでのいきさつなど教えて頂けますか。

山崎さん

はい。もともとウイスキーの人間なので、ちょうど10年前にスコットランドに行って、3か月かけてスコッチの蒸留所を回るっていうのをやってきたんですね。
最初はウイスキーを目当てにスコットランドに行ったんですが、その3か月間というのを通じて、ここはウイスキーだけの国ではなく、歴史・風土・人など、様々な魅力を持つ国だなと思いまして、そこで働きたいと思いました。

Gin Lab

三ヵ月は凄いですね!その後にアイルランドのダブリンで働くまでの経緯を教えてください。

山崎さん

当時まだ20台後半・中頃だったということもあり、ワーキングホリデー制度を活用してUKで働こうと思って抽選に応募していたのですが、30歳ギリギリまで毎年応募していましたが、毎年毎年はじかれまして。
その流れでアイルランドのワーキングホリデーにも応募してみましたら、アッサリと通りまして、ダブリンに行って働くことになりました。

Gin Lab

なるほど!面白いですね。そこからアイルランドでパブ文化に触れたんですね。

山崎さん

そうですね。ワーキングホリデーのビザというのが割と自由に何でも出来るものでして。ダブリンアイルランドと言えば、「ギネス」の国でパブ文化が盛んですね。
そこでパブワークに就きながらカルチャーを学んでいったりしたということですね。

Gin Lab

アイルランドで働いている間もスコットランドの蒸留所に行かれたりしたんですか?

山崎さん

それこそ東京-北海道間のように飛行機で1時間-1時間半で簡単に行き来できますので、ちょこちょこと休みを取ってはスコットランドに行ってみて蒸留所をまわりつつというのをやっていました。

Gin Lab

スコットランドの蒸留所は多く回られたんですか?

山崎さん

2013年当時に行った時には、当時あったスコットランドの蒸留所は全て回ってきました。2016-2017年にも色々と行きましたが、後蒸留所の建設ラッシュがあり、その後は全てというわけではないです。
スコットランドのみならず、当時のアイルランドも、アイリッシュウイスキーをこれからどんどん売り込んでいくぞという時代だったので、アイランドの蒸留所やビールのブルワリーもまわりつつ様々なお酒の文化に触れてきました。

Gin Lab

全部ですか。凄いですね!研究肌というか、突き詰めるタイプなんですね。
スコッチの蒸留所をまわってきたとのことで、スコッチ好きのお客さんも面白いお話を色々聞けそうですね。
その後は、帰国後すぐにお店をオープンされたんですか?

山崎さん

2016-2017年の間に向こうに行っていて、2017年の6月に帰国。その後9月にはお店をオープンとトントン拍子にいけました。

Gin Lab

本当に行動力が素晴らしいですね!

日本のジンの黎明期に、すでにジンに注目していた

Gin Lab

ウイスキーを目当てにしてスコットランドに行かれたりアイルランドでお仕事をしたりしたとのことですが、ジンに目覚めたきっかけなどありましたら教えてください。

山崎さん

もともとウイスキーの人間でしたので、ジンはウイスキーを製造・熟成させている間に作る代替品という認識だったのですが、スコットランドのストラスアーン蒸留所に行った時に色々話を聞いて、これはジンも美味しいのだと認識を改めました。
そしてアイルランドで働いていたパブですが、ビールのみならずカクテルなども出すファンシーな場所ということもあり、ジンの品揃えもありましたね。
当時でもアイルランドでジンを出すお店がかなり増えてきていまして、ジンも無視できない存在であるという認識になってきました。

Gin Lab

やはりイギリスやアイルランドでもジンは人気があるものなんですね。
帰国後の5年前にお店をオープンされたとのことですが、その当時はジンを揃えるお店は他にあまりなかったのではないですか?

山崎さん

そうですね。
お店を始めるに当たって、ビール、ウイスキー、サイダー、ではもう一つ何か足りないと思いまして、それであればジンだろうということでジンは取り揃えましたね。
1年目2年目なんかは、お客さんにビールとウイスキーとジンしかありませんよと言うと、「ジンなんて2杯も3杯も飲む人いないでしょう」ということを言われたんですが、ここ数年ではお陰様と言いますか、ジンを目当てに来ましたというお客さんなんかも増えてきましてとてもありがたいことですね。
今ではフラフラっと入ってきたお客さんの中には、「ジンが今流行っているらしいよね」と言われたりするんですが、心の中では「うちでは前から出してますからね」と思いつつ提供しています(笑)。

Gin Lab

流れに乗っかっている訳じゃないよ!という感じですね(笑)。
それにしても先見の明が素晴らしいです!
そして、「クラフトジン総選挙」という面白そうなイベントもやられていますよね。

山崎さん

初年度から毎年やっていますので、今年で5回目ということですね。毎年6月第二土曜日の「ワールド・ジン・デイ」に合わせて開催しているのですが、過去一年間でうちが扱ったジンの中から、お客さんが推しジンに一票を入れてくださいという感じでやっていますね。

Gin Lab

毎年やられているんですね。ちなみに一位はどのジンだったんですか?

山崎さん

第一回目のセンターは『サイレント・プール』かな。第二回は『香の森』、第三回は『YASO』、第四回は『ボタニストジン』。そして、今年の第五回目は『ニッカ・カフェジン』という結果になりました。

Gin Lab

センター(笑) 本当に面白いですね!次回は是非参加してみたいです。

パブフードも美味しい!!

Gin Lab

帰国後の5年前にお店をオープンされたとのことですが、その当時はジンを揃えるお店は他にあまりなかったのではないですか?
提供されてるパブフードも本当に美味しくて、フィッシュ&チップスはお店に来たときは定番でオーダーしてます!
他にもジャガイモと羊肉のシェパーズ・パイも英国の本場感を感じます。料理も現地で勉強してきたりされたのですか?

山崎さん

パブで働いていた時は、特に料理を作る側ではなくドリンクを提供する側で、シェフに話を聞いたりして料理をしたりしてみましたが、本場仕込みと言うよりかは、自分で色々とやってみてという形ですね。

Gin Lab

それでできるというのも凄いですね。フィッシュ&チップスは東京ナンバーワンだとあえて言いたいくらいです!

山崎さん

そうですかそうですか。ありがとうございます。
フィッシュ&チップスなんかは北海道の真鱈を使ったりしていますね。

Gin Lab

なるほど。北海道とスコットランドは似ているということは聞くので、この美味しさには何か納得しました。しかし、全ての料理がビールやジントニックと相性バツグンですね!

クラフトジン甲子園とは

では今夏の目玉イベント、「クラフトジン甲子園」についてお聞きしていきます。

ルールのご紹介

まずルールをご紹介します。

下記 The Wigtown 公式インスタグラム から詳細を引用させていただきました。


全国のクラフトジン製造所を飲み比べて、どの銘柄が甲子園制覇に相応しいかを応援していく、消費者参加型のトーナメントです。それでは気になる参加方法をご確認。

STEP
「クラフトジン甲子園見てきました!」と元気よく着席
STEP
渡された組み合わせ一覧から、希望の対戦カードと飲み方を選んでオーダー(飲み方はトニック割り、ソーダ割り、ストレートがお選びいただけます)
STEP
黒と白、2枚のコースターの上に対戦カードの2銘柄がサーヴされます(銘柄は伏せてご提供いたします)
STEP
2つを飲み比べます
STEP
渡された投票用紙を、自分の好みにあった方の乗っているコースターの色にマルをつけて提出いたします(選ばれた銘柄に1点が加わります)
STEP
提出が終わりましたら、スタッフからボトルの詳細が案内されます
STEP
正体を知った上で改めてお楽しみください

出場校紹介アカウント @craftgin.koushien もご参考くださいませ

Gin Lab

自分が美味しいと思った銘柄に投票して、それが勝ち進むと嬉しいですね!

始めたきっかけ

Gin Lab

かなりユニークなイベントだと思いますが、どのようにして思いつかれたのですか?

山崎さん

きっかけはちょうど一年前ですね。一年前というと何をしていたかというと「コロナ」ということで休業していた訳ですね。
家でダラダラしながらお酒のことばっかりを考えている内に、ジンもだいぶ増えてきたなと思いまして、各都道府県のジンをリストアップしていたんですね。そうこうしている内に「これだけあったら甲子園を開催できるな」と思いつきました。

Gin Lab

休業きっかけだったんですね(笑)

山崎さん

あとは運営をどうしようか?というわけで、一年間色々と考えて今の形になったわけですね。メーカーを巻きこんだりしようかとか考えたりもしましたが、とりあえずお店でやろうということにしました。

スポーツ紙 「ウィグタウンスポーツ」が最高に面白い

Gin Lab

試合結果などを書き記している「ウィグタウンスポーツ」も発行されていますよね。
大変面白く読ませて頂いてます。本当に内容が濃くて作成するのも大変そうですよね。

山崎さん

あれにも苦労がありまして、勝敗が決まるまで書く内容を決められないものですから、ほとんど内容を事前に書いていましたら、まさかの逆転勝利ということで記事を書き替えということもありました。

Gin Lab

試合の勝敗だけではなく「運営 メーカーと癒着か」といった事件性のある出来事を書いた欄も必ずありますよね。あの欄は最高に面白いです!

2022年は9/3まで開催中

Gin Lab

今の時点(インタビューをしたのは 8/17)ではベスト8が出そろって闘っているということですね。

山崎さん

そうですそうです。「六(ROKU)」や「桜尾」、「ニッカ・カフェジン」といった大手が順当に勝ち上がって来てますが、例えば、「六(ROKU)」と当たっている和歌山代表の地元密着企業がつくる「榊」なんかも勝ち上がって来てまして。さながら「有名私立高校対公立高校」の様な体をなしていますね。

Gin Lab

面白いですね(笑)!
必ずしも強豪校が勝ち上がって来るという訳ではないのですね!

山崎さん

そうなんですそうなんです。
私の推しは悲しいことに初戦敗退してしまったんですが。

Gin Lab

今年は9/3で優勝校が決まるとのことですが、来年以降もやられるんですか?

山崎さん

ええ、そうですね。来年以降もやろうとは思ってまして、優勝高(ジン)には「クラフトジン甲子園優勝」のシールを作成して、ボトルに貼って売り出してくださいということで勝手にメーカーさんに送りつけようと考えたりもしています(笑)。

Gin Lab

メーカーの方もなんだこれ?ってなるとは思いますが(笑) 
私達の方でも、バーで優勝銘柄を見かけたらこっそり貼ってきます(笑)

まだ間に合う!クラフトジン甲子園に参加してみては

The Wigtownの山﨑さんのインタビュー、いかがでしたでしょうか。本当に魅力的な方で、お話に引きずりこまれ終始笑いっぱなしのインタビューでした。

山﨑さんの魅力はその書かれている文章にも現れています。大学で日本文学を専攻して、のちにライブハウスでの勤務の傍ら、フリーペーパーに載せる文章やミュージシャンのインタビューなどの文章も書いていた山﨑さん。

その文体は個性的ながらウィットがあり、読み応えがありますので、気になる方はぜひ公式インスタグラムを覗いてみてその人柄に触れてみて下さい。ウィグタウンスポーツも今までの号をインスタグラムで読めます!

この夏、野球の甲子園は決勝戦が終了し、球児達による熱い闘いは幕を閉じましたが、クラフトジン甲子園はまだ終わっていません。

決勝戦は9/3まで開催しており、皆さんの投票結果によって表彰台に上がるクラフトジンが決定されます。まだまだ残暑が厳しい9月。冷たいビールで喉を潤し、美味しいパブフードに舌鼓を打って、それから、球児達の最後の闘いを応援してみてはいかがでしょうか!

現在までの激闘の様子は下記からチェック!ウィグタウンスポーツも読めます! ↓

The Wigtown 公式インスタグラム

The Wigtown 公式ツイッター

The Wigtown

〒180-0003 東京都武蔵野市吉祥寺南町2丁目13−4 ユニアス吉祥寺オフィスワン 101