オールド・トム・ジンとは

ジンというお酒は、ジュニパーベリーで風味付けをした蒸留酒のことを指しますが、その中でも製造方法によってジンのスタイルが分かれています。

今回の記事では、その中の1つである『オールド・トム・ジン』に焦点を当てて解説していきます。

味の特徴

イギリス発祥で「OLD TOM GIN」と表記されるジンの種類ですが、OLD=古い、TOM=人の名前?ということで、名前からは味を想像できないですよね。

シンプルに言ってしまうと、「砂糖を添加したり甘いボタニカルを使った甘口のジン」ということになります。しかし甘口と言ってもただ甘ったるいという訳ではなく、ジンの特徴であるドライさも兼ね揃えています。

sugar, cup, pile of sugar

含有されている砂糖の割合は、ジン全体の2〜6%が一般的とされています。

よりクリアなジンの種類である「ドライジン」と、オランダ発祥でジンの元祖とも言われる甘口のジュニパーベリー風味の蒸留酒「ジュネヴァ」の間に位置するジンと言われることもあり、その間をつなぐ「ミッシングリンク」としばしば称されます。

その他のジンについて詳しく知りたい方は→主要なジン以外のタイプ

その歴史と名前の由来

ボトルやラベルのデザインの特徴として「雄猫」が描かれているオールドトムジン。トムとは雄猫を意味する「トムキャット」から由来していると言われています。オールドトムジンは1800年代にロンドンで多く流通していましたが、それが語られる時は必ず「雄猫」のデザインと共に語られます。

1800年代前半、クリアなニュートラルスピリッツを精製できる蒸留器も未だ存在していなかったこともあり、雑味のあるスピリッツに砂糖や甘味料・甘い風味のボタニカルを添加して味をごまかしていたジンが主流でした。

そして、その時代は「狂気のジン時代」と呼ばれ、ジンに高い税金が課せられていたり、ジン蒸溜の免許制度がとても厳しかったりという時代背景もあり、ジンの密売所が多く誕生しました。その様な時代に流通していたジンがオールドトムジンだと言われています。

時代が進み1900年代。よりクリアなスピリッツを蒸留することのできる「連続式蒸留器」の普及によって、甘味の少ない「ドライジン」が大量生産可能になり、オールドトムジンは次第に歴史に埋もれてゆくことになりました。

ロンドンドライジンの定義について詳しく知りたい方は→London Dry Ginの定義

後世に再び登場して市民権を得ることになります。その立役者とも言われる『ヘイマンズ・オールド・トム・ジン』については、後の銘柄紹介でご案内します。

「オールドトムジン」の名前の由来は、コミカルで逸話の様なものから本当らしいものまで諸説ありますが、代表的な2つの説をご紹介します。

ブラッドストリートが販売する密売ジン

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1755年に出版された『The Life and Uncommon Adventures of Captain Dudley Bradstreet』という本の中で言及されている説。「狂喜のジン時代」において「キャプテン・ダドリー・ブラッドストリート」という人物がジンの密売所を営業していましたが、その建物の壁に備え付けられていた木製の看板が老いた雄猫(オールド・トム・キャット)のデザインだったと言われています。

その看板の裏側が密売所の内部になっており、そこにジンの密売者が潜んでいます。雄猫の口の部分にコインの投入口があって、購入者がコインを入れ「Puss」と言ってジンの購入量を指定すると「Mew」と販売者が応答して、雄猫の前足に付いているパイプからジンが注がれるという仕組みです。

この仕組みは始めは革新的でしたが次第に多くのフォロワーが現れ、ロンドンのいたる所にオールド・トム・キャットの看板が掲げられたとのことです。

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ジンパレスで販売されていたジン

1873年の『Notes and Qerries』の中で述べられている説です。

1800年代後半、ロンドンのジンパレスと呼ばれる場所で樽詰めされたジンが販売されていました。そこで扱われていたジンは「トマス・チェンバレン」という蒸留士によって作られており、彼の愛称が「オールド・トム」ということから「オールド・トム・ジン」という名前で販売されていました。

そのジンのラベルや詰められている樽に黒猫の絵が描かれており、オールドトムジン=黒猫というコミカルでキャッチーなイメージも広がりました。

編集部が選ぶオールド・トム・ジン 3選

ヘイマンズ・オールド・トム・ジン(Hayman’s Old Tom Gin)

ヘイマンズ蒸留所はロンドンで最も歴史の古い蒸留所の1つで、ビーフィーター・ジンの生みの親でもあるジェームズ・バロー氏(James Burrough) によって1863年に設立されました。ヘイマンズのジンは150年以上変わらぬレシピで作られており、ヘイマンズのオールドトムジンは、まろやかで芳醇な甘味を持ちつつドライさをしっかり残した味が特徴的です。

1900年代には製造者も少なくなり、一時は歴史の陰に隠れたオールドトムジン。2007年にヘイマンズが過去のレシピを元に復刻したことによって他の蒸留所も追随し始め、よりジンの多様性が増した現在、オールドトムの銘柄が増え1つのジンのジャンルとして確立されています。

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ジンクス・オールド・トム・ジン (Jinx Old Tom Gin)

オールドトムジンのシンボルと言えばトムキャットですが、ボトルに描かれたトムキャット「ジンクスくん」が特徴的な、とても目を引くデザインです。

スウィート・オレンジピールとレモンピールによって柑橘風味が良いアクセントとなっています。特にオレンジ風味が強く、甘味を感じながらもフルーティーな味を持っており、他のオールド・トム・ジンとはまた違った魅力があります。

どこか不思議な世界観をかもしながらも可愛いらしいジンクスくんのデザインによって、日本でもかなり人気があるジンの1つですね。

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グリーンフック・ジンスミス・オールド・トム・ジン (Greenhook Ginsmiths Old Tom Gin)

グリーンフック蒸留所はアメリカのニューヨーク、ブルックリンにその本拠地を置いています。「Gin Smith = ジンの職人」というその名からも伝わってくる通り、こだわり抜いた技術によって作られているジンは、近年、国際的なアワードも多数受賞している程に評価が高まってきています。

彼らが作るオールドトムジンは、バーボン樽とシェリー樽で2年の熟成期間を経て、アルコール度数も少々高めの50.5%に設定されているということもあり、他のオールドトムとはまた違った力強さを感じられるものに仕上げられています。

参考書籍・リンク

Wikipedia – オールドトムジン

https://www.diffordsguide.com/g/1108/gin/old-tom-gin

書籍  ジンの全て

書籍  ジン大全

書籍  『GIN』 by Aaron Knoll

Hayman’s 

https://alpenz.com/product-old_tom.html

https://www.haymansgin.com/our-10-botanicals/

https://barmagazine.co.uk/haymans-celebrates-old-tom-gin-simple-recipes/

Jinx

https://www.jisys.co.jp/item/brandyspiritsliqueur/26.html

Greenhook Ginsmith

https://seequor.jp/products/greenhook-ginsmiths/old-tom-gin

https://greenhookgin.com/the-gin/