『Worlds Gin Awards(ワールド・ジン・アワーズ)』。
ジンに興味がある方であれば、一度は耳にしたことがある言葉ではないでしょうか。
ジンについて調べていると、「ワールド・ジン・アワーズ において~賞受賞」という文章を見かけることがあったり、タイトル画像のロゴマークがジンのボトルに貼られているのを見たことがありますよね。
しかしそもそも「ワールド・ジン・アワーズってなに?」「コンテストの受賞作品みたいだけど、そもそもワールド・ジン・アワーズってすごいの?」と思われる方も多いのではないでしょうか?
実は………
とても大規模に開かれている品評会で、世界中から数多くのジンがエントリーして専門家によって審査される場所で、受賞したブランドには大きな名誉が与えられます。
今回の記事では、ワールド・ジン・アワーズについての解説と、受賞作の3銘柄についてご紹介します。
「ジンを飲んでみたい」「美味しいジンって何があるの?」 何を飲むか迷ったら受賞作品を飲んでみるのもアリ!
まずワールド・ジン・アワーズについて解説する前に、ジンを選ぶ際にこの賞が役に立つということを提案させてください。
現在、日本国内でもジンの人気が上昇していて、様々なバーや酒屋でジンを見かけることが多々あると感じる方も多いのではないでしょうか。そこでジンに興味を持った際に、どのジンを飲んだり買ったりしてみるか迷ったら「品評会で表彰されたジンを飲んでみる」という基準で選ぶのもアリだと思います!
ワールド・ジン・アワーズに限らず、世界的に行われている品評会で選ばれたジンは、数多くのエントリーの中から勝ち残って評価された逸品揃いです。国産・海外産に限らず、世界で認められたジンというだけで飲む価値があるはずです!
では本題のワールド・ジン・アワーズについて解説していこうと思います。細かい内容の部分もありますので、「品評会そのものの説明については興味ないなー」という方は、受賞作品3選のとこまで飛ばし読みしてください。
ワールド・ジン・アワーズとは?
世界的なお酒のメディアであるTheDrinksReport.comが主催となり、一年に一回、イギリスにおいてWorld Drinks Awards(ワールド・ドリンクス・アワーズ)という世界的なお酒の品評会が開催されます。
そこではウイスキーやジンなどの蒸留酒はもちろん、ビールやワインなどの醸造酒も併せ、約40種類ものお酒が部門ごとに分かれて評価されます。
2000年代から始まった品評会ですので他の伝統的な品評会と比べると歴史は浅いとも感じられますが、年々その規模は拡大し続けており、現在では世界的に信頼を集める一大イベントとなるまでに成長しました。
審査員を務めるのは、バーテンダーや評論家、お酒に関する記事を書くライター、バイヤーやブランドアンバサダーなど、お酒業界に携わる多数の著名人。
ワールド・ジン・アワーズは全お酒の部門の中の一部門で、ジン一部門のみに焦点を当てても様々なカテゴリーに分けられています。受賞記録が残っている限りでは2014年からスタートした部門ですが、2023年現在においては、他の種類のお酒と比べてもかなり激戦となるほどエントリー数が多いそうです。
ワールド・ジン・アワーズのカテゴリー
カテゴリーの数も年々細分化されてきていて、2023年度の品評回ではは大きく分けて4種類、そこから細分化された各カテゴリーに分かれます。
まず大きな4種類の大カテゴリーとして
- TASTE WINNERS :
一番大きなカテゴリーで、ジンの味そのものについての品評。
- DESIGN WINNERS :
ボトルやラベルデザインなど、パッケージングについて。
- ICONS OF GIN :
ジンに関わる様々な職業、例えば、イノベーションを起こした蒸留所とそこに従事するマネージャーや蒸留士、酒販店やバイヤー、サステナビリティに寄与した蒸留所などが表彰されます。
- HALL OF FAME :
「殿堂入り」の意味。長年ジン業界に寄与してきた人物に名誉が与えられます。
今回の記事では、最もエントリーが多い「TASTE WINNERS(テイスト・ウィナーズ)」のみに焦点を当てさせていただきます。それだけでも全10カテゴリーに細分化されています。
ではその概要をご紹介していきます。
Classic Gin : クラシック・ジン
ベースとなるスピリッツはニュートラルでクリアな必要があり、ジンに必須のボタニカルであるジュニパーベリーが前面に押し出された風味を持つ。その他のボタニカルは、アンジェリカ、コリアンダーなど、オーソドックスな素材からつくられるジン。
Compound Gin : コンパウンド・ジン
ベーススピリッツを蒸留後、そこにボタニカルを加えて風味を抽出するが、そこから加熱をして再蒸留をする工程を経ないジン。詳しくはこちらの記事をご参照ください
Contemporary Style Gin : コンテンポラリー・スタイル・ジン
クラシックなジンのスタイルではなく、ジュニパーベリーの風味を強く感じさせながらも、その他のフレーバー、例えばシトラス感が強い / スパイシーであるなど、際立った個性を感じさせるジン。「ニュー・ウェイブ」「ニュー・ウェスタン」「ニュー・アメリカン」など、現代的な感覚を感じさせるものを指します。
Flavoured Gin : フレーバー・ジン
フルーツや特定のボタニカルの風味を強く感じさせるジン。典型的な例としては、蒸留後に最後にボタニカルを漬け込んで直接風味付けをしたり、時には甘味を添加する場合もあります。
Genever : ジュネヴァ
オランダ発祥でジンのルーツと言われる蒸留酒。モルトワインを主成分としてジュニパーベリーで風味付けがされているもの。
London Dry Gin : ロンドン・ドライ・ジン
ジュニパーベリーの風味が前面に押し出されていて、なおかつ、純度の高いピュアなベーススピリッツを使用して作られるジン。 ジンの中でも最も製法について細かく定義されている種類です。詳しく知りたい方はこちらの記事から
Matured Gin : 熟成ジン
完成後に樽の中で熟成させたジン。樽のみならず、木片や木のスティックを漬け込んで風味付けされたものも含みます。
Navy Gin : ネイビー・ジン
57度以上の高いアルコール濃度を持つジン。 詳しく知りたい方はこちらの記事から
Old Tom Gin : オールド・トム・ジン
加糖をして甘く仕上げられたジン。ボタニカル由来の甘さが強いジンも含みます。
Signature Botanical : シグネイチャー・ボタニカル
ジュニパーベリーの風味が前面に押し出されていながら、同時に、特定のボタニカルを前面に押し出しているジン。例えば「オリーブ・ジン」のように主要なボタニカルがラベルに記載されていたりします。
Sloe Gin : スロー・ジン
ジュニパーベリーの代わりに、スローベリーで味付けされたジン。
エントリー→結果発表までの流れとメダルの種類
この品評会に参加するために、世界中から何百何千というジンのつくり手がエントリーしてます。
それでは、受賞者発表までの時系列とメダルの種類をご紹介していきます。
翌年の1月に、それぞれのカテゴリー / 国ごとに下記の受賞ボトルが選出される。
・Bronze =銅賞
・Silver = 銀賞
・Gold = 金賞
・Country Winner = カントリー・ウィナー
ラウンド1においては、ある一定の基準に達するジンが各賞を受賞しますが、そこに達するジンが存在しないのであれば、そのカテゴリー / 国に受賞ボトルが一本も無いという状況も数多くあります。
そして、銅賞・銀賞までは各国内で複数の受賞ボトルが存在することもありますが、金賞以上になると、国別に受賞本数が0本~多くて2本と少なくなり、グッとハードルが上がります。
その狭き門をくぐり抜けた一本がカントリー・ウィナーに輝きます。これは相当名誉的なことですね!
1ヶ月後の2月に、各国のカントリー・ウィナーが勢ぞろいして決勝戦。
各カテゴリーから世界の頂点に立つジン「ワールズ・ベスト」が選出されます。
ここで表彰されたジンは、世界中から注目の眼差しでみられること、間違いないでしょう!
2023年 ワールド・ジン・アワーズ 受賞ジン3選
このワールド・ジン・アワーズ、イギリスにおいての開催ですので日本ではお目にかかれないジンも多数選出されます。むしろ、ワールズ・ベスト受賞作品はとなると日本で入手できないものがほとんどです。
しかし幸運なことに、2023年のその中から日本でも飲めるブランドが2本選出されました!
最もエントリー数が多いとされているコンテンポラリー部門において、ジャパン・カントリー・ウィナーに輝いた1本と併せて、計3ブランドをご紹介していきます!
コンテンポラリー部門 ジャパン・カントリー・ウィナー
クラフトジン棘玉
コンテンポラリー部門、日本一のジンに輝いたのが、埼玉県が誇るジン『クラフトジン棘玉』。
つくっているのは、明治20年に創業した老舗の酒屋「マツザキ」を営む株式会社マツザキさんです。松崎家によって長年受け継がれている酒屋の営み。現在の代の松崎さん親子は、日本酒やワインをなどを扱う酒屋として長年地元に愛されており、十年以上前からジンをつくることを夢見ていたそうです。
2019年に地元川越に「武蔵野蒸留所」を設立し『クラフトジン棘玉』を製造してから、世界の品評会で数々の賞を受賞。日本のみならず世界中で認められるジンにまでなりました。
クラフトジン棘玉の特徴的な点として、通常のジンの3倍の量のジュニパーベリーを使用してつくられており、いわゆる「Juniper-Fowarded Gin(ジュニパー感が前面にだされているジン)」として、ジュニパー好きのジンラバーに根強い人気を誇っています。
今回のワールド・ジン・アワーズでもコンテンポラリー部門で日本一のジンに輝いたということで、その輝かしい受賞歴にまた一つ名誉が加わりました!
詳しく知りたい方はこちらの記事から
フレーバー・ジン ワールズ・ベスト
MAWSIM GIN TROPICAL CITRUS マウシムジン・トロピカル・シトラス
カンボジアでつくられている『マウシムジン』。
岐阜県の企業でリサイクル事業を営んでいる株式会社サンウエスパさんという企業が母体となってこのジンをつくっています。
カンボジアとも強い繋がりがある企業ですが、現地で蒸留所を設立、試行錯誤の末に『スパイス&ハーブ』と『トロピカル・シトラス』という二種類のフレーバーの『マウシムジン』を完成させました。
2022年発売が開始されたばかりのジンですが、なんと『スパイス&ハーブ』がコンテンポラリージン部門のカントリーウィナーに。そして『トロピカル・シトラス』がフレーバージン部門のワールズ・ベストに輝くという、ダブル受賞を果たしました!
カンボジアと言えば南国フルーツの宝庫。トロピカル・シトラスは、マンゴーやパッションフルーツ、パイナップルから抽出される天然のフルーツ由来の甘味を味わうことができます。そこに、他の柑橘系のボタニカルと組み合わされることにより、スムースな口当たりで素晴らしいバランスを持つ、他に類を見ない素晴らしいジンに仕上げられています。
アジア圏では、ワールズ・ベストに輝くジンというのは史上初とのことですので、そのクオリティーの高さが伺えますね!
詳しく知りたい方はこちらの記事から
オールド・トム・ジン ワールズ・ベスト
HERNO OLD TOM GIN:ヘルノ オールドトム ジン
北欧・スウェーデン。「ヘルノ蒸留所」は、美しい自然に囲まれたヘルノサンド市において、国内初のクラフトジン蒸留所として2012年にオープンしました。
ヘルノジンは、今回受賞を果たした「オールドトム ジン」の他にも「ドライジン」「ピンク ジン」「ネイビーストレングス ジン」といった代表的なラインナップがあり、全てのボトルにおいて国際的な賞を幾度と受賞しており、最も受賞歴のあるジンブランドの一つと言われています。
そして、蒸留責任者であるジョン・ヒルグレン氏は、ジンでは世界に9名しかいない「Hall Of Fame(殿堂入り)」にも選出されている人物とのことで、まだまだ歴史が古くないクラフトジンの世界においても、その始まりの時期から良いものをつくり続けている素晴らしいブランドです。
ここでつくられるオールド・トム・ジンは、ロンドン・ドライ・ジンのレシピにメドウスィートを加えて蒸留し、加水の後に少量の糖分を加えています。オールドトムスタイルながらスムースかつまろやかで、非常にフローラルな香りと味わいが楽しめます。
ラベルに描かれているネコの絵もキュート。味はもちろん、ネコ好きであればジャケ買いにも最高ですね!
最後に
ワールドジンアワーズと2023年の受賞作についてのご紹介、いかがでしたでしょうか。
この品評会で受賞するということは、ジンのつくり手にとってもとても名誉があることで、受賞をした際にはその喜びもひとしおとのことです。
ワールド・ジン・アワーズのシールが貼ってあるボトルを見かけたら、ぜひそのジンを味わって見てください。
他の受賞作品が気になる方は、下記リンクから↓
参考: